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セーラームーン主題歌の時代

1992 年に開始された「美少女戦士セーラームーン」TV シリーズの OP の歌詞に、

泣きたくなるような moonlight
電話も出来ない midnight
だって純情 どうしよう
ハートは万華鏡

という部分があって、よくよく考えてみるとこれもいつのまにか旧式化していたのだなあと思ったのでメモ。問題となるのは「電話も出来ない midnight」。ここの状況が十年弱かけて大きく変わっている。「なぜ当時 midnight に電話できなかったのか」の要因は大きく三つ。

  1. 当時の学生は携帯電話を持っていない。したがって相手に電話をかけるには自宅の固定電話を使うか、でなかったら家の近くの公衆電話まで行く必要があるが、深夜だと家族に電話や外出を制限されがち、という環境の障壁。
  2. 深夜ということもあり、相手は寝ているかもしれない。電話して起こしてしまっては悪い、という儀礼の障壁。
  3. 心情を打ち明けることへの抵抗。心理的障壁(←だって純情)。

で、携帯電話(or PHS)は 96,7 年頃には学生含め爆発的に普及をはじめてたと思うので(それ以前にはポケベルだった)、ここでまず第一の障壁は緩和される。自室から携帯電話でかければよい。居間から固定電話を持ち出す必要はない。家からこっそり抜け出す必要もない。次に 1999 年以降携帯電話のメール機能が充実しはじめ、これにより第二第三の障壁が緩和されてくる。メールは電話のようにリアルタイムで相手の時間を拘束しない。メールならリアルタイムの通話では伝えづらいことも伝えやすくなる場合がある。つまり、

  • 90 年代序盤:「♪電話もできない midnight〜」「そうだねーわかるわかる」
  • 90 年代中盤:「♪電話もできない midnight〜」「ピッチ貸そうか?」
  • 90 年代終盤:「♪電話もできない midnight〜」「メールすれば?」

というかんじに推移しているはず。現代のセーラームーンは深夜眠れなくても月を見ながら空想にふけったりしない。携帯いじくってメールしている。まあハートが万華鏡だったらメールの文面もうまくまとまらないかもしれないけど。そこはアイコン連打とかで。うまくすればテレビ電話もある。ロマンスは宇宙を必要としなくなった。宇宙のかわりに無限に細分化してゆく地表の夜を電波の網が覆っている。

といっても、現在でもやはり儀礼と心理の障壁は多少なりと存在している。深夜のメール着信アラームの鬱陶しさは、電話ほどではないにせよゼロではないし、文書のほうが声に出すよりは打ち明けやすいとはいっても、それでも躊躇いが消えるわけではない。けどまあそれでも随分世の中は変わった。今後も変わり続けていく。恋愛絡みの歌詞が古臭くならなくなったら人類滅亡の日も近いわけよな。