文学フリマに参加 その 1
文学フリマに行って来た。文フリ終了後も OFF 会に参加したりして、結局徹夜で月曜を迎えることになった。大変だった。けどおもしろかった。一日でかなり大量の話をした気がするので大部分忘れた。とりあえず OFF 会そのほかについては(覚えてる範囲で)後日の日記ででもメモることにして、文学フリマそのものについての日記を以下にリスト。
- 毎回混むイベントではあるけど、今回の混雑はすごかった。ゼロアカ道場パワーよな。普段なら午前中までで買い物が終わって帰るひとがそれなりに居るかんじなので、午後は芋洗い状態から多少マシになるんだけど、今回は併催イベント側の事情(ゼロアカの結果が終了時間あたりで発表されるとか)で、最後まで大多数のひとが会場内に滞留し、まともに通路を通れない混雑状態が続いた。これ、ゼロアカとしては賑やかし結構だろうから成功かもだけど、文フリとしては失敗だよなーと思った。毎度のことではあったけど、それにしてもさすがに今回は、いくらなんでもひとの数に対して会場が狭すぎ。
- 文フリ側としては会場キャパ問題は憂慮してるようで、次回からは別の広い会場でやるそうだ。ただ、できることなら秋葉原開催の最後ではなく、新会場最初の開催でゼロアカ道場とタイアップできたほうが都合よかったんでないかなーと思わんでもない。新会場のアクセスは秋葉原よりは確実に悪くなるからお披露目の意味で賑やかしは欲しいだろうし、会場広ければ特設ブースや導線も取りやすくなるだろうし。まあそう都合よくはいかんか。
- 結局チェックしておいた本は全部買えた。リスト見ながらガーッと回るのは、やはり漫然と会場を歩き回るのと効率が全く違うな。とはいえ、基本的には漫然と回ってこその文フリという気もするので、文フリ規模の即売会への対処としては善し悪しか。というか今回は、会場があまりに混んでてその「漫然と回る」をやる気が起きなかった…。
- ばるぼら氏の小室哲哉ペーパーは発行されていないようだった。ブースに居た Y さんにわざわざ確認していただいた。ご面倒おかけしました。
- 買う予定だった「腐女子の履歴書 耽美・やおい・JUNE・BL との 50 年」がゼロアカ道場企画だったので、ゼロアカ行列にも並んだ。といって金曜に並んだ GoW2 の列と比べればチュートリアル程度のスケールの行列で、2,3 分程度階段で待たされただけで買えた。ゼロアカ道場の同人誌は、その売り上げも勝負にカウントされるそうで、会場では「購入は一人各一冊まで」みたいなかんじの注意書きがあった。なるほどなー。でも、ということは、「全部に興味はあるけど強いていえばこのひとに勝ち抜けてほしい」みたいな場合、読みたくてもほかのは買わずに勝って欲しいひとのぶんだけを買うということになったりするんかな。まあそこまではアレか。実際あの混雑状況では一人が何回かに分けて複数冊購入とかやったとしてもそれをチェックできるような状態ではなかったと思うが、まあそれ以前に「身内にたくさん買ってもらう的な不正をやってまでして欲しい勝利なのかどうか」みたいな言い方もあるか。どっちかっていうと「ゼロアカ道場に関心のある客層から興味を持たれなかった同人誌を振り落とす」という意図としてデザインされているんだろう。
- 会場で各種 WM スマートフォン& iPhone(または iPoh Touch)使ってるひとはちらほら見かけた。しかし Willcom D4 使ってるひとが居たのは驚いた。UMPC の時代はもうちょっと先だと思うんじゃよ。
- 往年の文フリの場合、別にそれが多数派ということでもないけど、しいてネットのクラスタを抽出すればはてな ID 保有率がかなり高めのイベントということができて、会場で石投げればはてな ID 持ちに当たるんじゃないか的なことが言われたりしたのだけど、今回あたりからネットの人文系アクティブ層が Twitter ID での活動をメインに移してるんじゃないか的なことが言われていたので、落ち目のはてなクラスタ vs 昇り竜の Twitter クラスタみたいな間接軋轢が生じてるんじゃないかとか予想していたんだけど、実際には「結局 Twitter ユーザでもはてな ID 持ってるひとが多く、逆に Twitter ID 持ってないはてな ID もかなり多いかんじだから、やっぱり全体的にははてな ID のほうが多い」みたいなかんじだったっぽい。
- ID 持ってる同士だと無条件で話が弾むとか仲がよくなるみたいな効果などあるわけもなく、単に「あーよく知らんけどクラスタが形成されてるんだなー」と立ち話を聞き流しつつ素通りする場面が多いという程度の話。
- ほぼ毎回やっている「挑発会話フレーズ収集」の活動については(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20031108#p2)、今回大豊作だったよ!あまりに豊作すぎていっこも覚えてないという意味で大失敗だったほど。やっぱメモらないとダメだ、けど、メモった時点で別のものになってしまうんだよなーこういうのは。
- ともあれ人文体験の濃密さでは今年有数のイベントだったろう。得難い。これについては本当にゼロアカ道場様様といったかんじ。たぶん今回会場における人文会話密度は、青山会場時代に勝るとも劣らなかった。どこもかしこもワナビートークまみれ(というか広範なワナビートーク圏が取り巻いている核の部分には、ワナビーではない「おれはおれたちはなにかをやったったぜ」側のひとたちのガチトークが渦巻いており、意味でいえばそっちのほうがおもしろいんだろうけど、おれにとっては周辺こそが本命なので以下略)。やっぱこのての会話は通常かなり抑圧されがちのところ、場の文化熱が閾値を越えた瞬間一気に爆発するというかんじだな(いわば「ワナビーマインドが口語として漏洩しまくる事故現場」だ)。文フリは通常開催でもある程度ボーダーを越えているが、今回は高速増殖炉の中に居るようなかんじだった。これがキャズムの底の光景なのカー、みたいな。
- 即売会としての文学フリマ
- 今回際立って感じられたのは、文フリ参加者の即売会リテラシの低さ。同人誌即売会がどうのという以前に、混雑している場でどういう行為が他人の迷惑になるのかわかってない。「マナーが悪い」とか眉をひそめるほどの話でもないんだけど(あからさまな迷惑行為とかは見たかぎり起きていなかったし)。基本として「通路の真ん中で立ち止まる」「立ち止まるばかりか、そこを塞ぐとひとが通れなくなるような隙間で輪をつくって立ち話や荷物整理を始める」「前から通行人がやってきてもどかない」「過密状態だけど自分の後ろがどういう状態になってるか確認(警戒)しない」とかなんとか、ようするに気配りと警戒心の両端がブチ折れてる参加者が多かった。オタ向けの即売会でも迷惑なひとは一定割合居るものだけど、文フリの場合(最初のあたりに書いたとおり)会場の狭さと人口密度の高さの問題で、体感として混雑感が増幅され、また通常の感覚で「これくらいなら邪魔にはならないだろう」と判断した小さな行動同士の衝突がエントロピーを増大させ、歯止めがかからなくなる。
- 一般的に「問題行動」というのは少数の目に余る行動をいい、それが多数になってしまえば「それはそういうもんだから諦めろ」という話になっていくものなので、ある意味つつがなく(人通りは停滞しつつ)場は進行する。個人行動としてそれだから、集団行動の咄嗟の目配せなどできるわけもなく、列の形成もスタッフのひとが声かけてる範囲外では無秩序。もみくちゃー。多少なりと体育会系気質が形成される余地のあるイベント&現場系のオタ界隈と比べ、文化系人間のグループ行動のできなさについてはこの数年実感しているところなんだけど、えーとこの状態で平気なひとは全員「空気」について語るの禁止ね、とか思いつつ歩いてたら横から「あいつは空気読めないやつだからー」みたいな声がきこえてきて笑った。後ろに通りたそうなひと数人が列になってる状態で通路塞いで楽しそうにくっちゃべってる人間が、知ったふうに空気を語る状況ってトリックプレイとしてレベル高すぎ。
- 「オタクのオタオタしい大仰な身振り手振り」の、混雑するイベント会場での有用性について考えたりした。わざとらしいくらいのオタモーションって、周囲に「そのひとが次に何をしたいのか」を明確に伝えるんだよね。具体的にはどっち方向へ進みたいとか、ブースで支払いをしたいとか、行列の間を通り抜けたいとか、そういうサインを発しあうオタ同士が混雑状態になったとき、周囲からのサインと自分がやりたいことを勘案して素早く最適に近い対応が取れたりする(「このひとはこっちに行きたいから半キャラズラして受け流し、このひとはそこのブースで一旦停止して買い物するから進行方向クリア、このひとは通り抜けたがってるので、じゃあおれはベクトル交差手前で一旦止まって通り抜けるのを待ってからこっちに進もう」みたいな)。数秒先の未来をある程度予測しつつ行動できるようにサインを発しあうという混雑イベント対応の知恵だな。サインを発しないし読もうとしない今回文フリのような混雑状態では、周囲にひしめくひとたちが次になにをしたい(次の呼吸でどっち方向に移動したい)のかがわからず、予想できないままひたすら雑踏に揉まれるしかなくてかなり疲れる。
- でも、こうした「一般参加者の即売会リテラシの低さ」は、文フリにおいてはわりあい意図的に保護されている気がしなくもない。というかみんながテキパキ買い専として振舞うようになっちゃうと、単に普通のつまんないイベントになっちゃうんだよね。様式としては一般的な同人誌即売会そのものだけど、内容が全然違うから、ふつうのオタ即売会だったら「これは問題だろう」と感じるようなことが、文フリにおいてはさして問題とは感じられない、というより、むしろそれが特徴や魅力を作っているんだろうなと思えるので。
…と、このへんで、いい加減長くなってきたし、現在の実時間 11/13 で日記遅延しまくりなのも気になるので、一旦ここで切って翌日分の日付に回す。