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ザンファインはおもしろいね

SANVEIN

相変わらず PSP 持ってないんだけど周囲はだいたい買い揃え終わったので、おれだけが PSP 持ってない真空地帯ということになった。でも観測範囲内でいうとモンハンやってる側の人間がドマイナーで大概の人間はグラディウス系のなにかをやっていたりサウンドテスト目的で旧作お得パック的なパッケージを揃えてるだけのオッサン型 PSP ユーザなのでこれはこれでやはり偏っている気がしなくもない。

借りて遊ぶことは難しくなくなったので、どれここは WIPEOUT PULSE でもやらしてもらうべと本体借りたんだけど SANVEIN 遊んでるだけで終わってしまった。おもろいわ。必要だ。「速い・安い・カッコイイ」の三拍子が揃ってる。この世代の家庭用ゲーム機でいうと STG は圧倒的に SS のほうが豊かだと思うんだけど、SANVEIN は(ゲーセンにも出なかったわけだし)PS だけのもんだからなー。数秒で決着するステージがひたすら連続していく、タイムアタックというよりスプリント競技、周辺エリアの制圧率による難度変化と残タイムを睨んだギャンブル性、時間に追い立てられる緊張と高揚、これまでの STG を解体したうえでひとつだけ選択したエッジへ向けて、要素を純化して一から構成しなおしたかのようなゲーム体験。エッジすぎたせいか本作が拓いた地平に継承作品が生まれることはなかったのだが、それが 8 年前のディスクパッケージが DL タイトルとしてそのまま現代機で遊べるということには大きな意味がある。というか SANVEIN は据え置き機より携帯機向きだよね。ギュッと遊んでスパッと終わる体験は、どこでも遊べる PSP でこそ生きる。DL タイトルなので UMD を使わなくていいってのも良い。新型パネル使ってる PSP 2000 でも結構残像感があったり、まあ PS タイトルだし仕方ないけど画面比 4:3 だったり、不満点はあるけど。

あと、速い・安いはいいとしてカッコイイはどうなんだって話もあるんだけど、あれよ、ゲーム(主に STG)におけるかっこよさって必ずしも先端ではないことが多いわけよ。どっかから借景してきたかっこよさ感。だいたい往年のゲームのグラフィックなんて大概が「かっこいいー、んだけど何かのパクリ」てかんじじゃったろ。SANVEIN の場合も、時勢的には「エヴァエヴァ?」「+サイバー感」「+テクノとバーチャルの融合」らへんのキーワードで片が付く。けどそういうことじゃないんだよ。SANVEIN のかっこよさは、残タイムに背中を蹴られつつグラヴィトンボディを駆って楽園から全力で逃げまくっている今の俺カッコ EEEE、というプレイヤ自身の桃色自己投影フィルタごしに見える景色としてのかっこよさなわけよ。平凡な男子高校生の灰色の学生生活が彼女できた途端グレア・スペキュラ・ポストエフェクトてんこもりの薔薇色に変容するように、陶酔感を提供するゲームのグラフィックは何色をしていてもプレイヤには夢色に輝いて見えるんだよ。そして SANVEIN のグラフィックは、まさにプレイヤを陶酔させるためにこそ機能しているように感じられる。無駄が多いようでいてそうではないんだ。そんなかんじ。