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300

300

予告編を見て行くことを決め、ずいぶん経って公開日の今日になった。と思ったけどブックマークの日付調べてみると 4 月 28 日だ。そんな昔のことでもないな。犬時間的には大昔、おっさん時間でいうと一昨日食った晩飯のメニューとだいたい等距離のつい最近。身体感覚の中に複数のタイムスケールが混在しているので面倒くさい。昼頃から出かけていろいろやって映画みてすっきりさっぱりする計画だったが、いろいろあって行動開始が夕方になってしまった。池袋→中野→高円寺→すごろく屋→てんぷら屋→池袋→東武練馬、ときてシネコンのレイトショーにすべりこみセーフ。座席は予約してなかったのでロクなところが開いておらず、最前列から二番目の真ん中。席からスクリーンまでマージンがなく、もうほとんど真上を見上げるようなかんじ。あとせめて二列くらい後ろならかなり違うと思うんだけど。視界を覆うスクリーンは迫力満点といえもするが中央見てると端がよくわからんし、あと画面が近すぎて速いカットなどほとんど追えない。往生した。本編上映前にトランスフォーマーのトレーラーなど流れたけどカットのつなぎで不十分な視覚情報がブッタ切られて全然わかんなかった。全席予約制なのでいまさら席も変えられんし、困った。

…と思ったのだが、本編はじまるとわりと杞憂だった。そのへんも含めて適当に感想。

  • スローモーション映画!!!!!!だった。ので、画面近すぎてもあんしん。首が痛かったくらいか。重要なカットは全部スローモーションかかるので動体視力弱いひともじっくり見れます仕様。煽り文句で「MATRIX 以来の映像革命!」とかいわれているそうだが、それはあれじゃないか単にスローモーション演出つながりではないのか。まあ「300」のアクションは Bullet Time というほどの超スローモーションではないけど。
  • 西洋チャンバラ映画としては、尺の長い切り合いをたくさん見れたので満足(スローモーション多用の結果長尺になってるような気がしなくもないが)。殺陣も気合入っててかなりかっこいい。ラウンドシールドはこう使うんですね的なチャンバラアイディアがふんだんに。
  • 戦場設定が抽象的なので、合戦ものとしての戦術描写は食い足りない。ただ、スパルタ兵がファランクス陣形で前進するシーンは迫力があった。槍を使うシーンはあまりなく、揉み合いになってから盾と剣で押し返すのが主だったが、わーっと適当に突っ込んでくるペルシア兵を、一個の巨大な殺人マシーンのように連動して押し止め突き殺し押し返しまくるスパルタ兵こえーという。
  • 漫画原作であり、漫画的なレイアウトをかなり忠実に再現してある(スローモーションは、原作再現のためにも効果的に使われている)。
  • 原作本は買って読んだ。漫画ってより絵本に近い。またアメコミなので動体表現には乏しい。そこいらへんが映画版では活き活きと描かれているかんじだ。あと映画にある王妃パートは、原作にない映画オリジナル部分のようだった。原作がストイックすぎるので、そこは現代のわりかしキナくさい情勢だとか映画的なお約束とかも含めて、愛や正義を追加してみましたというところか。
  • 近年の西洋チャンバラ映画に欠かせないキーワードは膨大な CG 力によって現出される「大軍」「巨大」「フリークス」の三感だが、本作はディテールの追求のため大軍感と巨大感をある程度犠牲にして、そのぶん「フリークス」をがんばって、あと「エロ」を追加したかんじだな。なんでこの映画 15 禁なんだろと思ってたら、グロ方面で首チョンパの切り口描写とか、あとエロ方面でおっぱいが出たりとかしていた。
    • 大軍感は、ペルシアの大軍が移動するシーンとかは遠景に留まっており、あまり現場には関係なくていまひとつ。まあこのへん予算の問題とかあるのか知らんけどなんとなく(「それでもずいぶん環境としては恵まれていそうだけど、大枠この作品は「リベリオン」とかに近い規模の映画なんじゃないか」という感覚がある)。
    • 巨大感については、攻城戦とかでもないので大掛かりな兵器は登場せず、軍用動物もゾウとサイくらいしか居ないという問題がある。ただまあこの作品で巨大といえば、なんといってもペルシア王クセルクセスがデカいしな。乗ってる輿も気合入ってるし(本作では、ペルシア側の交渉人の乗り物がだんだんものすごくなっていくところも見どころのひとつだ)。色の深い瞳といいガタイのデカさといい、なにかやはりオリエント君主は神掛かっとるなー的なオーラをビシバシ放射している。ギリシャ側の王であるレオニダスとは絵的な対称性を(かなり意図的に)印象付けられる。レオニダスは、全然神掛かっていないばかりか神の言葉を直接受ける立場にもない人間だが、自由人であると。まあその自由人の下には奴隷階級が居る時代の話なので、映画的なお題目を本編の問題意識とわだかまりなく溶接するのはずいぶん面倒くさそうだけど。

ともあれ、おもしろかった。あと歴史のお勉強。

余談として、ゲーオタとしてはこの映画のゲーム化を強く希望したいところだな。日本からは光栄社の「三国無双」シリーズが出たけど、あれはわりと前時代的に完成されたデザインだと思っているので、そろそろ西欧列強メーカーから現代的に洗練された「俺 vs マッシヴ」系の大作が現れないものかと、わりと長いこと期待しつづけているのだが、なかなか出ないんだよな。少人数チャンバラ路線としては PS2God of War」シリーズとかがあるけど。大規模化すると普通に RTS とかで考えちゃうからなのか、または「ハァ?藁人形みたいな敵を 1000 体なで斬りするより、味のある敵を 50 体やっつけるほうがおもしろいに決まってるじゃん」みたいな当然の話として検討外に留まっているのか。