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あれどうなった

070407 | 高田馬場

家庭用機のダウンロード商売は各社いまだ模索&路線定着中の段階で、もう明け方は終わった気もしつつ、お尻のほうはいまだ黎明期でもありつつ、どうやったらガツガツしてなさそうに見えながらお金をキッチリ回収できるのかの暗黙の駆け引きが続いているかんじだ。そんな中 PS3 用「GRAN TURISMO」は、なんか車もコースも個別にダウンロード販売で総額けっこうな額になります的な豪気な商売をぶち上げていてかっこよかったよな、とかなんとか思い出したけど、あれはどうなったんだったっけ。検索した。

  • 「GT HD プレミアム」

PS3 の性能を最大限に引き出すことによって、今まで以上に美麗、かつリアルに表現されるレースを手軽に楽しむことができる。これまでのシリーズで例えると、アーケードモードのような位置づけとなるモード。デフォルトで収録されているのは、クルマが約 30 台と新規コースが 2 つ。

このほかに、クルマが 1 台 50 〜 100 円、コースが 200 〜 500 円程度の価格でネットワーク上からダウンロード購入することが可能。最大で、30 車種と 2 つのコースをソフトの発売と同時に新たに追加できる。

  • 「GT HD クラシック」

「GT3」と「GT4」に登場したものの中から、750 種以上のクルマと 50 以上のコースを PS3 の性能に合わせてフル HD 化。これらのデータは、すべてオンライン上に用意されており、自由にダウンロード購入(価格はプレミアムと同じ)できるようになっている。

同社は 12 月に PS3 用「グランツーリスモ HD」を発売するとしていたが、この製品戦略を見直すとしている。具体的には、「グランツーリスモ HD」の販売は行なわず、「グランツーリスモ HD コンセプト」の無料配信をしながら、「グランツーリスモ 5」の開発を行なうという展開になる。

ありゃ。「GRAN TURISMO HD」有料販売の話がなくなって無料体験版配布に留まり、かわりに「GRAN TURISMO 5」発表というかんじか。まあなー、「絵作りはイマイチだけど高解像度出力には対応したやつを PS3 ローンチにとりあえず間に合わせました」みたいな中途半端バージョンを小出しにされるより、ちゃんと作り込んだ新作を出しますっていうほうが筋的に正しいと思える。が、どうもドタバタしている印象は拭えない。けど、もともと GT シリーズには PS2 以降わりとドタバタしている印象があるし、いやドタバタしないためにズルズルしている印象かな(GT3 は結局 B-Spec が出ずに GT4 待ちになったし)、ともあれ、どうもいろんな大戦略の都合であっちこっちいっているみたいなかんじ。今回の GT HD と GT5 の入れ替えも、それに絡んでるんじゃないかなと妄想。

ちなみにおれ含む周囲のゲーオタは最初この発表をみたとき「ロゲー」とのけぞった。パッケージ買ったあと対応する有料追加コンテンツをダウンロードという流れ自体は、家庭用据え置き機として新機軸というわけではなく、というか初代の頃から XBOXXBOX Live を利用していればそれなりに馴染み深い。おれの場合でいえば最初に利用した家庭用機運転ゲーパッケージの追加有料ダウンロードは、初代 XBOX「PGR2」の Paris Booster Pack で、これは 2004 年のことだからもう三年前か。

GAME Watch から当時の記事を適当に検索。

SCEI 社ゲーもようやくダウンロード商売に対応したか、ちょっと遅かったな、くらいの話だ。それでも「GRAN TURISMO HD」のやり方がのけぞりに値したのは、車種やコースに占める有料提供部分の割合が、これ大丈夫かよというレベルで大きかったからだろう。そのぶんパッケージ料金を下げるとはいってもな。

妥当な線として、既に挙げた初代 XBOX「PGR2」のような「パッケージにあらかじめ十分なボリュームのコースなり車種なりを含めておき、特別な少量という位置付けで追加ダウンロード販売」という路線がすでにある。また、去年のパッケージになるが XBOX 360NFS:CARBON」では「追加車種のほかにチューンナップやパーツ等のチートがダウンロード購入可能」という路線で売っていて、これも(やり込み原理主義者の間で議論を呼びそうではあるが)なるほどと思える拡張だった。暇があり金のない学生は従来どおりにやりこめばよく、金があり暇がない社会人はサクッとチートを買ってパワーアップ、というわけだ。で、これらと GT HD では全然違った。パッケージ販売分に対してダウンロードバラ売り部分の占める割合が半分以上になることが確定しているというのは、つまり最も多くお金を支払うひとと、最もお金を支払わない(=パッケージぶんの料金しか出さない)ひととで、そのタイトルについてのゲームプレイ体験が相当違ってくることを意味する。まるで別のタイトルの話をしているかのように印象ブレが起こりうる。これまでそういったことは主に「プレイ時間」や「やりこみ度」で引き起こされてきた。そこに新しく、「かけたお金」が加わってくる可能性を、GT HD のやり方は示唆していた。それ自体べつに悪いことではないというか、そういうやり方もたぶん将来的にはアリだと思うが、しかし、現在はまだちょっと早いだろう。

初代 XBOXXBOX Live がサービスインする前後、MS 社はけっこう入念に「コンテンツダウンロードってどうよ」みたいなヒアリングを実施していたように記憶している(が、うろ覚えでソースなし)。パッケージを買ったユーザがコンテンツダウンロードに、だいたい幾らまでなら金を支払う気になるかとか。そういう感覚は水物というか、かなり微妙だ。もちろん無料ダウンロードもある程度用意して、最初はせいぜい数百円まで、こなれてきて数千円とか支払う気になるレベルに達するのは、パッケージ自体のダウンロード購入があたりまえになってから、くらいの感覚ではないだろうか。XBOX 360 については、そういった初代からの蓄積もあり、ジャンルによってある程度現実的なレベルで試行できるくらいにマーケットプレイスが成熟してきていると思えるが、GT HD はなー、まだ海のものとも山のものともつかない発売前の PS3PLAYSTATION®Store で、のっけから数千円、下手すると数万に達する可能性もある商売をいきなりぶち上げようというわけだったから、それはチャレンジャブルすぎたというか。販売の話がなくなったのには、発表後の反応をみて「ゲーム内容もだけど、商売のやり方も、まだちょっと早かったかな」的な判断があったのではないか。MS 社のように事前のリサーチを繰り返すというより、PS3 周辺では「とりあえず発表してから様子見て方針調整」みたいな事例がチラホラ見受けられる気もするし。

基本的には、さまざまな形態のダウンロード販売を前提とする家庭用ゲーム機のゲームプレイは、これはもう従来型の延長というより、なにかコンシューマでもゲーセンでも PC でもないなにかまったく別の体験を生み出す可能性があると思っているので(単に中途半端なあいのこに落ち着いてしまうような事例もたくさん出るだろうが)、各機種で様々な商売が試行されるのはいいし、それぞれにそれなりの成功を収めていっていただきたいなあと思う。当座のところおれが注目したいのは、「ゲーセンゲーはやればやるほど金がかかる / 家庭用ゲーはやればやるほどコストパフォーマンスがよくなる」(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20060122#p3)という従来の状況を液状化するような動きだ。