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逆転裁判 3

CAPCOM逆転裁判3」クリア。おもしろかったが、やはり「ファンなら買い」の評価変わらず。続編であり節目でもある三作目を、規模の発展と風呂敷の収束という双頭竜で仕上げようとした制作者のひとの誠実さのようなものをプレイヤとして受け止めるとしたらそういう評価になるというかんじ。

  • ゲーム規模が(残念ながら)GBA の基盤上に展開可能の枠内からちょっとはみでているかんじがした。

というか、べつにこれは、続編なんだからスケールアップするのは単純にはいいことであって、残念ではないのだが、プレイヤが脳内にバッファしておくべき情報の量がかなり雑多になってしまったことによって「(ストーリーは)破綻してないんだけど(ゲームプレイとして)破綻気味に感じかねない」のギリギリの線上までいった瞬間があったというか。脳の負担を軽減するのがコンピュータの役割であり、それは当然やりようによってはできるんだろうけども、とはいえ GBA の仕様と逆転裁判の仕様上でサポートできる範囲は限られており、状況が大規模化する方向がそれらの範疇からちょっとはみ出したかなーという。そうでなければ感じられないはずの苦しさがあった。

逆転裁判はこれ以上大規模化するなら GBA 以外のハードへ行くべき」というところまで到達してしまったいうことだ。おれは逆転裁判のストーリー展開について「GBA 規模できっちり収めるコンパクトさ」という部分でも高く評価していたので、それがもうコンパクトでなくならなければならなくなったというのはさびしさでもある。逆転裁判をこの形式でこれ以上発展させるとしたら、「発展的に PS2」っていうラインも具体的に見えてしまったというか。

  • シリーズを通して、シナリオの質感というか手ざわりというか、そのようなものには非常に好感を持っている。

いまどきに ADV っていうともはや大半がエロゲーなので、オタであれば無意識のうちに(べつにそれが肝でない場合にせよ)ADV を想定するときにエロ(的要件)を当然のように消化(または全年齢版にあわせたチューニング)して読んでしまいがちなところを、逆転裁判はそこんところをとてもふつうにすり抜けてまっとうな話を作っていた。ようするにおれは、もはやオタが ADV を考えてみるときに(エロシーンの有無にかかわらず)「エロゲーっぽいシナリオの組み方」から自由な発想ができなくなっているのではないかと疑っているのだが、逆転裁判はその点において(非常に良い意味で)「オタが描いたシナリオじゃない」という印象を持っていたのだ。

…けど、今作でちょっと感じてしまった。ほんのちょっとだけど、今作のこの作術は、ちょっとエロゲーシナリオっぽい。逆転裁判エロゲーではないしエロシーンだってもちろんないのだが、なにかその構造というか、外殻というか、または枝葉というか、空気というか、そうしたものに対して。三作目にもなるとさすがに苦しくて、大抵の他作品の根底に流入してしまっている現代的な(つまりオタ的でエロゲー的な)作術の影響からは自由でいられないということかなあと、これまたちょっとさびしいというか。逆転裁判をこの形式でこれ以上発展させるとしたら、たぶんより「エロゲー的な作術」の度合いは高くなっていくんだろうなというか。

以上の二点がおれのさびしさ感のまとめ。古きよき小さい時代はもはや終わったのだみたいな。まあそれはそれとしてちゃんと盛り上がったのでよかった。クライマックスとか鳥山明ドラゴンボール」の対セル戦ラストを思い出したよ。ファンサービスかくあるべきという。だからファンなら買いなんだけど。とりあえず 1 と 2 を買ったひとなら 3 は買っておいたほうがいい。

全編通して抑え目というか、動きまくりあたりまえな PC エロゲーなどと比較すれば oldscool もいいとこな演出効果なども、しかしまったくうわついたところがなく縁の下からの盛り上げ徹した仕上がりですばらしい。Tも「ひさしぶりに正しい意味での演出効果を見た気がする」と言っていた。手触りからいってエンジン部分は相当作りこんであるかんじなので、それに見合う行き届いた仕事といったところか。これでいいんだ。でもこれがむずかしいんだ。優れたエンジンが秩序あるポリシーを支持する、確立した設定が確固としたキャラクタを演出させる、おもしろいストーリーが実装のモチベーションを維持し向上させる。