次に来る灰色の光景…
去年だったか一昨年だったか忘れたけど、その時点での「来年流行しているであろうエロゲーの舞台の象徴的光景はどういったものであるか」という雑談をしたことがある。当時すでに地方都市を舞台としたエロゲーは蔓延していたと思うし「もういい加減地方都市じゃねえだろ」といった意識がおれの中にあって、だからといってじゃあ次はどういうものを舞台とするかというあたりについてまともに考えてみたことがなかったからちょっとやってみるかといった程度の馬鹿話だった。
過程は忘れたけど結論は「大都市のど真ん中にある廃墟のような裏路地にひとり立つ少女」だった。恐らく東京だろう、ただしひとは過密じゃない、すくなくともエロゲは大状況を描けるようなシステムでは制作されないだろうから、となると廃墟、もしくは裏路地、ゴミがなく廃材や瓦礫があるだけの閑散とした風景(エロゲオタは臭気のもとになりそうなゴミや汚物を忌避すると判断して)、生っぽさの抜け落ちた灰色の光景。
ちょっと歩けば表通りで雑踏もあふれかえっているだろうけどそちらには行かない、少女に誘われるまま路地の奥の深く深く静かな場所へ迷い込んでいくというような話。純愛も鬼畜も問題なし。オカルト風味もアリだろう。ファンタジックもOKだ。奇跡は都市にこそふさわしい。生活に必要なすべてのパーツへのアクセスがよく、しかし「興味のないほかの誰も気づくことなく入ってこない隙間」の中での彼女との邂逅。そこにはなにがある?発見があるだろう、街が夜に見せる顔、橋の裏側、旧地下鉄のトンネル、誰も知らない猫の会合場所、倉庫の裏口、ビルの谷間のちいさな公園、忘れられた桜の木。
エロゲが求める平易なギミックはほとんどすべて突っ込む余地がある。
とかおもったけどそれから1年後だか1.5年後だかの今現在になっても結局そんなものは来なかったな。やっぱだめだな予想とかできんなおれは。
つうか結局エロゲーってのは青空型か地下室型のどっちかしかできんのかな。自分で作った檻に自分で入っちゃったっていうかんじなのかなあの案外あたらしい隙間を狙いにくい顧客層を次々と生んでしまうシステムは。