携帯する音楽再生機械
ふつうのひとはウォークマン→ディスクマン(でなかったら MD プレイヤとか)→シリコンオーディオ、と進んできたのかもしれないのだが、おれには「携帯 CD プレイヤ」の時期がない。ウォークマンも、持ってた時期にはずいぶん時代遅れだったし、携行していた時期も長くなかった。というか携帯 CD プレイヤを持っていなくもないのだが、知人からタダで貰ったオンボロで(捨てるのは勿体ないということで貰い受けた)、寿命切れの内蔵バッテリはとっくに生産終了につき入手できず、AC アダプタでないと動かなかったので、「携帯」できるものではなかった、という話。
というようなわけで「オンボロカセットテーププレイヤ→シリコンオーディオ」に直結しているおれの感覚からいえば、あれだ、最近の機械ってのはすごいな!なにしろバッテリ切れ直前になっても音程が下がらない!そのかわりいきなり切れるけど音が。…というか昔カセットテープで音楽聞いてた頃って電池がヘボまってくるとだんだん音がゆっくり低くなっていっちゃって、この野郎おれの音感狂わす気かとムカついたものだった。逆に電池使いはじめのときはみょーにリズムが速かったりとか(←やる気がありすぎる状態)。これテープのコンディションにも依存してて、ノーマルの安っちい(=おれがよく使っていた)テープだと聞き込んでるとだんだんテープが延びてきちゃって、ふつうの電圧でも音がヨレたり垂れたりヘボまってしまって悲しかった。大事な音源は複数ダビングしておいて、聴き用と次回ダビング(保存)用とか分けたりしたものだった。それも面倒くさくなってあんまやらなくなったけど。あとごくたまにオンボロカセットデッキだと巻き取り速度が違ってて、別のデッキで聴くと音が高かったり低かったりしてムキーとなったりとか。あの時代の音はなにをやっても劣化して、再生するコンディションによってフラフラして儚かった。それを不自由だとはあまり思ってなかった。なんとかする方法はあったのだろうが、暇はあっても金はないし正当な努力は惜しむというボンクラの性根は、当時からすくすくとおれの脳髄に根を張っていた。というようなことを、ひさびさにカセットデッキを使う機会があって、思い出したので日記。
あとおれが最後に見たウォークマンの子孫(たぶんアジア産のバチモン)は、もうなんかカセットテープの半分くらいのサイズで、「テープを入れる」っていうより「テープにくっつける」ような扱いになってて人類の科学はなんでも小型化しちゃうのだなあと感心したものだった。音は悪そうだったが、もともと良さを競う環境でもないのだろうからそこは問題にならない。いまはおれ SD カードでプレイやんだけど、これも最終的に「SD カードにくっつける」くらい小型化…は、さすがにしないか。でも GBA のカートリッジくらいの大きさとかまでなら、いずれ実際そうなりそうではある。