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逆転裁判 2

逆転裁判2」(以降2)に、新たに導入されたシステムが「サイコ・ロック」だ。このシステムが意味するものは大きい。

このシステム発動に最初に遭遇したとき(二話)、これが答えかカプセルコムピューター!とか、ちょっと震えた。これはただ「冗長な探偵パートの間延びをふせいで緊張感を演出する」ためにあるものじゃないと思ったからだ。このシステムは「ゲーム中に重要人物として登場し、かつ主人公と唯一法廷において直接舌戦を繰り広げることのないキャラクタ」、つまり「被告」を、主人公が疑うという演出を可能にする。ということは2は1で作り上げたお約束(「被告=正義」)を自ら崩し、「悪の被告を弁護する主人公」という状況を演出するエピソードを用意したのに違いない!と思ったのだ。おれはサイコ・ロックをまさにそのために用意されたシステムと判断した。これだけ単純に仕上げたゲームにわざわざ新しい要素を追加するに足る理由といえば、それくらいしか思いつかない。

果たして第四話、依頼人は悪だった。なるほどくんは依頼人の正義を失い、正義の味方としての基盤を失い、その彼のピンチを助けたのは宿敵・御剣だった。そこで御剣が登場するのは必然だ。かたや弁護士かたや検事、このゲームの法廷において原告と被告を背負って立ちお互いの正義を主張する関係。御剣は 1 で敗北を重ねていたから「片方だけの正義が成立しない」という状況をすでに経験していたし、だからなるほどくんの危機を察することができた。彼になら、立場を失ったなるほどくんに新しくこれこそが正しいという新しい正義を示すことができる。それができるのは彼しか居ない

「被告=正義」でも「原告=正義」でもないのだ。当然だ、そんな危うい前提としての信頼のうえに立つ正義なんていう不安定なものに拠って立っていたのでは、うしろから「実は悪なんだよーん」と言われたとたんに奈落に落ちる。ならばなにか、「真実=正義」、これだ。お互いの立場で正しいと思うことを主張し合えばおのずと明らかになる真実があり当然の裁定がある、その境地に至るために必要な信頼の置ける宿敵、という図。そこに勝敗など存在しない。どちらが勝つのが正しいのか、それを考えるのだ、ということだ。そしてなるほどくんは御剣の助けを借りてその境地に達した

…というかんじの話だと思ったので、非常に満足した。おれは油断していたというべきだろう。「被告=正義」の枠は、たぶん 2 でも破られないだろうとなかば諦めてかかっていたからだ。ところがそうじゃなく 2 はあっさりとぶち破った。勿体ない。惜しげもなく。

ことここに至ったというのは非常に重要なことだ。なるほどくんは逆転裁判の主人公として達すべき境地に達してしまったのではないかと思うのだ。この先彼は裁判で勝ったり負けたりするのかもしれないが、彼はもう勝敗などどうでもいいとわかってしまった。となると彼の今後の物語はもうプレイヤとして「ゲームにする必要のないもの」になったのではないかなと思う。ちょうど映画クレヨンしんちゃん「オトナ帝国の逆襲」を見たあとみたいな気分だ。もう野原家のしんのすけに関する育児は完璧に終了じゃんこいつもうすげえ立派なガキだよたいしたもんです、はい卒業!120 点満点!みたいなかんじの

もし「逆転裁判3」があるなら彼が見出すべきものはあと一体なにが残っているのか?とか、余計なことに気をもんだりするあそび上で困る。弁護士としてでなくなにかべつのことか?それとも主人公が変わるのか?とかなんとか。それでなくとも 2 は 1 より複雑にするためにいろんな点でそろそろ限界に来ている感がある(同時に意識しておかねばならない情報の増加や、「ひっかけ」的な選択肢など、1 にあった「とにかくわかりやすい」の構図を若干崩すことでどうにか成立させているかんじ)。まあそもそも続編なんかなくてあれで完璧に終了ってのなら、それもまたいいと思うけど、それはそれとして

あーあと余談として、三話目の序盤まで遊んでセーブデータを間違って消してしまって、このゲームは内容としては「やるべきことを順番どおりにこなすだけ=ほぼ完全な一本道」なので、すぐにもう一度遊び直すのはつらいかなーと思ってたんだけど実際やってみたらどうにかなったのがおもしろかった。はみちゃんが萌えキャラだったからかな、たぶん、あれが理由でどうにかなった。

ADV における萌えキャラっていうのは再プレイ以降のテンションをどうにかもたせるという点で役に立つ存在なんだなあと、これはほとんどはじめて実感したと思う。ACT とか STG とかだと、プレイ回数を重ねるごとにキャラクタなんてものは当たり判定以外の意味が剥離していくものなので、それと逆の意味になる場合もあるのかー、とか。