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時をかける少女

時をかける少女

…というようなわけで、ひさびさに時かけでも見るかなという気分になった。もちろん、「物語は右から左へ進行するゥー」とか「タハー、ここで主人公が上手(かみて)から登場ー」とか「下手(しもて)側に設定されているこの世界の未来は暗いのですヨー」とか呟きながら見るためである。…いや時かけについては、映像作品として情報を整理してゆく関係で、上手(かみて)下手(しもて)はわりあい意味のある話として援用可能なのだろうと思っているよよよ。

でもなんか見始めるとふつうにおもしろがって画面に見入ってしまい、全然そういうこと考えてるひまはなかったな。見るたびによくできてる映画だ。じつに自然…というか自然っぽい。ただ自然なだけではなくてきちんと映画っぽい。優れたネームの漫画のように、優れたコンテのアニメなのだろう。それに加えて演技がまたいい。特に千昭には惚れる。真琴の野太いかんじも好きだ。BD 版も発表されたというし、購入スケジュールに入れとかないとなー、まあ BD プレイヤ買うのは当分先なのだが。

真琴はバカでいいヒロインなんだよなー、きちんと青春してる。とはいえあの青春にリアリティがあるのかっていうとない。あんな嘘くせえドリカム状態はねえし、あんな青春もまた実際にはない。でももしもあれが成り立つのなら、真琴のようなキャラクタが青春するのだとしたら、時かけのドラマはとてもしっくりくるし、いい話なのだ、ひどさを内包しつつ。道徳の授業じゃないし委員長になってほしいわけでもない、後先考えない真琴がやりたいようにやったあとで苦しんだりして最後うまくいくんだけど幼児的な都合のよさとは決別する、というプロセスにある正義とは、つまり GTA4 に出てくるアウトローどもとの交流みたいなものだ。あの平気でシャブ売り歩いたりライバルギャング撃ち殺したりしてる態度と、「とりあえず楽しいからタイムリープしちゃった」的な真琴の態度ってなんだか似ている。「やる前に考えろ」とか思う側と同じ回路で動いてない。物心つく前にシャブはあった、銃もあった、なにも考える前にとりあえずヤらないと今頃死んでた、そういう人間の幸福について考える、いや真琴の場合べつにそんな殺伐としたアレではないんだけど、ひとが「良い自分になろう」と決意する、みたいなシーンを幻視するときに、結構感動できるものはあるんじゃないかなーとか。それでいうと反省とか特にせず死んでく悪党が GTA4 には多いな。やっぱ違うか。