バトルバ
バトルバは、非常によくできており、おもしろく、コンパクトで、奥が深い。つまり、いいゲームの中のひとつだ。しかし問題がある。このバトルバをゲーオタ仲間の間ですごく盛り上がることのできた記憶をもっているというひとは、それを誇ってよい。なぜなら、それがとても稀な経験だからだ。つまり、非常におもしろいのだが、そのおもしろさをおもしろがることができる機会があまり多くないゲームとしてバトルバはゲーオタに記憶されることになった。
あのーすごくおもしろいのはわかるんだけど、うまい段階に至るまでの敷居がかなり高くて、かつバトルバは多人数戦でこそおもしろいゲームで、全員が歩調を合わせてうまくなっていかないと厳しい。「仲間内でおもしろがりつつ互いに拮抗した状況のままレベルアップしていける」というレアなシチュエーションに遭遇しないと、なかなか盛り上がることができなかった。実際にバトルバで盛り上がっているコミュニティに遭遇したことはあるものの、おれ自身はそのようなコミュニティに属したことがない。暇があってゲームでおもしろがろうというオタコミュニティは当時かなりあったが、しかし当時というのは格ゲーの全盛期とも重なっていて、なかなかその分厚い層に食い込んでいくことができなかった感があるというか。選択肢が多かったのだ。まあその「選択肢の多さ」という前提のうえにこそ、バトルバのようなゲームアイディアが提案される土壌はあったのだろうけど。
家庭用で集団格闘という路線でいうとガーディアンヒーローズとかもそうで、別ハードでいえばスマブラとかもそうだが、タイトル単位での盛り上がりはあっても、ジャンルとして盛り上がっていけるというほどの力はまだ育っていない印象。PC 向けの軽めのネットゲーとかが最近このへんがんばってる気もするので、未来は必ずしも暗くないとは思う。
とりあえずのところ、バトルバの方向性自体は間違ってないと思うので、これが web ゲームになったり同人ゲーになったりとかすればいいなあとか思わなくもないというか。同人ゲーの現在には「過去に生じてサクっと途絶えた突然変異的なゲームシステムの記憶やパターンを、ガワとか血肉とかそのへん抜き落としつつも、せめて骨格だけは場に残し繋ぎとめる」みたいな役割も期待できなくはない気がするので。ミッシングリンクになっちゃうものはしょうがないけど、ミッシングした切れっ端を、どっかの誰かが勝手に継承することで、つながる未来があったり、または喪われた近未来への供養になったり、せんかな。