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J1 リーグ第 22 節 浦和レッズ vs FC 東京観戦

さいたま

日付的には昨日のことだが、N さんから誘ってもらったのでサッカー観戦のため埼玉県に行った。考えてみると今年の初埼玉かも。なんか J リーグの試合とのころだった。会場は駒込から南北線乗り換えて埼玉方面に乗っていった先。じゃあのどかなかんじかなー、以前から、適当に J2 あたりの下位グループの試合をビールとか飲みながら特にどっちのチームを応援するでもなくダラダラ眺めるということをやってみたかったのだ。あとこの夏は、後楽園の昼間で適当に試合のある日に行って、実際の試合と無関係に、ソーセージカレーを食いながら炎天下でピッチャーマウンドに立っている太(フトシ)の応援をするフリをするという、「孤独のグルメごっこをやり損ねていたので、それのサッカー版ができればいいな的な軽い気持ちもありつつ。

  • 17:00 頃に駒込駅で待ち合わせ。駅前の公園に櫓が組まれていて、お祭りがあるかんじ。町内会っぽいテントにじいさんばあさんが集まっている。
  • 南北線の改札に降りる階段の前のあたりで待っていると、赤いユニフォーム着てめっちゃやる気まんまんで歩いてくるレッズサポーターのねえさんとすれ違った。そうか、今日戦うチームのひとつは浦和レッズか。試合見にくるひとはサポーターが多いのかなー。
  • 蝉の声にまじって(今年の東京はどこにいても蝉がうるさいかんじだ)Space Giraffe の宇宙フラワー破壊音の幻聴が。そんなにやりこんでないんだけどな。やはりゲームというかコンピュータ芸術的な分野における本物感の漂う作品は印象付けも一撃で OK というかんじか。
  • N さんと合流できたので南北線で埼玉方面へ。今日の試合は浦和レッズ vs FC 東京とのこと。途中駅で停まるたび電車の中にだんだん赤いユニフォームが増えてきて、終点の頃にはほとんど電車中真っ赤という状態に(この「到着駅へ近づくに従ってアレゲなひとたちが増えていく」の感覚は、地方からのコミケ上京時の感覚に近い)。ていうか FC 東京側のサポーターの姿がみえねえよ。全員レッズオタだ。埼玉人および都内のかくれ埼玉人などの心の奥底に巣食うレッドデビルだ。うわちゃー普段どおりの(というより夜中ふと最寄コンビニに散歩に行くときのテンションに近い)ドブネズミ色の T シャツで来ちゃったよ。要領よく「ごくふつうのデザインだけど赤地」の T シャツを着てくる N さんは、さすが空気古戦場で生まれ育った都会人やなーと感心した。ていうかこんなサポーター多いとは全然想定してなかったよ。見積もり甘いなー。せめて対戦相手の FC 東京っぽい配色の T シャツ着てくればよかった(←よくわからん状況下に放り込まれたときはとりあえず対洗脳のためしゃがみガードで消極的に逆張りしとけ、上級者にロックオンされてたらすくい投げ食らうかもだけど、関係ないノリ勢の群と居合わせただけならやり過ごせる、という安定戦術意識)。何色なのか知らんけど。
  • ついた。終点。浦和美園。ドザーっと降りるレッズサポーターの群れ。その流れに乗ってスタジアムまで歩く。駅からスタジアムまでは結構距離があり、バスも出ているという。けどここは田舎満喫だろう。田舎者の血が田舎の空気を求めている。ブラボー田舎。田園風景。うまい空気。おおまかな下水溝。田んぼ。トラクター。がっしりしたママチャリ。ビニルハウス。広い空。夕焼け。求めていたものが全部あった。もちろんおれの地元の正真正銘の田舎っぷりとは比べるべくもないがな。
  • さいたま
  • 遠くにスタジアムが見えはじめ、そのデカさに感動する。巨大建築物だよ!キョダチクっていうと、もはや全体の中では古参の部類に入るのであろうおれの感覚でいえば、はてなー的な警戒心が首をもたげたりもするんだけど、まあそれはムラ社会の区々たる揉め事の記憶であって、巨大建築物はシンプルにイノセントにただあるがままにデカいのじゃよ。遠くからみてもデカい。近くに寄ってもやっぱりデカい。デカさはひとを説得しない。そんなものを意に介さずただドデーンと立っている。だからそこにはユニバーサルな感動がある。
  • Google マップ埼玉スタジアム
  • Google マップで上からみると単調な形してるけど、横から見るとなんだか着陸した宇宙戦艦みたいなかんじでやたらかっこいい。正式名「埼玉スタジアム 2002」というらしい。日韓ワールドカップ開催のため建設されたというから、国際試合もドンとこいの超立派なサッカー専用スタジアム。サッカー専用というのは、フィールドの外周に競走用のトラックとかがないので観客席がフィールドに非常に近い、あと座席の角度をかなり急にしてあるので 2 階席からでも視界が遮られず試合を見れる、とかなんとかそんな具合でべんりらしい。
  • で、このへんからだんだん状況が把握できてきた。なんとなく J2 リーグ下位あたりの閑散気味の試合を見るようなつもりで来たんだけど、今日やるのは J1 リーグの試合、さらにいえば浦和レッズは現在リーグ首位であって試合も全然ぬるくない。観客は 2,000 人とか 3,500 人とかそんなもんなのかなーとかチョロく考えていたらとんでもなくて、来場者 46,000 人とかだった。コミケの一日来場者の約 1/3 くらいか?それだけの数の人間が、ただ前後半あわせて 90 分程度のサッカーの試合を見るためだけに集まっているというのもサッカーオタならぬおれからすれば結構びっくりするような出来事なわけだが、しかしオタ以外のひとにとってみればまさにコミケとかが「素人の描いた漫画を買うために有明にあんだけの人間が集まるとかわけわからん」というかんじなんだろう。
  • 事前に「今日はサッカーがうまいひとたちがサッカーしてるところを見れればいいやー」くらいの心構えしかなかったので、これは改めねばならんな。「すごくサッカーがうまいひとたちが J リーグの試合をしているところを見よう」というかんじに。

埼玉スタジアム埼玉スタジアム埼玉スタジアム

  • ゲートをくぐり、スタジアムへ。すごい人ごみだ。コミケよりはマシだがおれはコミケに行かないタイプのオタなわけなのだから、コミケよりマシというのは気休めにならない。腹が減っているしスポーツ観戦にはぬるいビールが必須なので取り急ぎ確保する必要があるが、出ている屋台ことごとく相当の行列。食いものを買うために行列に並ぶというのは貧乏臭さの極みのひとつだと思っているおれに対して(まったく混雑状況に最適化された東京の queue loving people どもが!)この仕打ち屈辱的。いっこだけやたら行列が短い屋台があった。てことは不味いのか。不味さと行列でいったら前者はまだ感受性次第の問題といえるのだから、迷いなくそこで買う。前述のとおりソーセージカレーが希望なのだがなかった。ハンバーグカレーでよしとする。
  • ためにし EM ONE を起動してみたら余裕でつながる。すげえ。埼玉の奥地と馬鹿にしていたよ浦和美園。文明圏だ。EM ONE が通じるところは全部都会ってことでいいよ。
  • そういやカレー屋台でビール買ったとき、缶からわざわざ紙コップに移して渡されて、えーどうせなら缶でくれよって思ったんだけど、これ「缶とか投げ込まれると危ないので会場内には紙コップしか持ち込めない」みたいな会場の都合だったっぽい。そういやサッカーだものなあ。荒れるときは荒れたりするんだろうかな。

埼玉スタジアム埼玉スタジアム埼玉スタジアム

  • スタジアムの中に入って、その立派さにまた感動する。こりゃいいところだわ。どことどこの試合とかじゃなく、ここでやる試合というベースで見に来てもいいくらい良い。なによりでかい。そして人ギッシリ。浦和レッズはサポーターがすごいという話きいてたけど、ホームゲームとはいえよくもこれだけ応援に来るものだな。こういう世界もあるのか。まあこれも、非オタのひとにとっての大規模同人誌即売会のひとつみたいなものか(しつこい)。
  • いちばん安いチケットなので 2 階席のだいぶ隅っこ寄りだが、フィールド全体見渡しがいい。ちょうどクォータービューで全体見れるかんじ。TV 中継だとボール周辺のアップが主というか、全然ボールの位置とは関係ないところで行われているプレイがどんなものなのかわからないことが気になっていたので、今回はそこいらへんを主に見るつもり。前線で攻撃してるときの最終ライン周辺とか、右サイドが上がってるときの左側のひとたちの動きとか。
  • 席に座って全体を見渡してみると、FC 東京側のサポーターのひとたちの塊があった。そこだけ来てる服が赤じゃなくて青。スタジアム全体を時計の文字盤に見立てると、短針一時間ぶんくらいの範囲に密集してる(写真でいうと左側の一角)。でもそれだけ。残り全部レッズ。超アウェー。逆にそういう場だからこそ、モロに FC 東京サポーターでございっていう格好ではなかなかスタジアムに来づらいというようなかくれ FC 東京ファンのひとは、我々のようなぬるい見物客が占めてるあたりのブロックに混じってるんではないかとの指摘。
  • 出場選手のアナウンス。FC 東京側の選手紹介はスクリーンにリストが並んで(一部の選手が読み上げられるときは会場からものすごいブーイング)、アナウンスも淡々としていたのに、レッズ側の選手紹介になるとスクリーンも選手紹介デモまじりでアナウンスもすごいノリノリ。会場超拍手喝采。おおお。ナショナルリーグの試合って、選手紹介の時点からホーム&アウェーの差をつけるのかよ。国際試合とかの「基本的に相手を尊重しましょう」みたいな建前がある試合とはまったくノリが違うんだなと感心した。ほんと徹底的に身内贔屓。ここまであからさまにやられると逆にすがすがしいっていうか。試合は試合でもあり、同時にお祭りでもあるのだろう。だからみんな赤いユニフォーム着てここに来ているのだ。彼らにこの結束感を提供するためにチームがある、みたいな、逆の見え方までしてくる。
  • 試合開始。レッズサポーターの声援がすごい。FC 東京側の応援がちょっと調子付こうものならものすごいボリュームでそれを塗りつぶしにかかる。いやそういうアレでもないか。ほとんどフルタイム、試合中スタンドの声援がやむことはない。90 分走り続ける選手たちは当然として、なるほどこれは応援しているほうも無茶苦茶疲れるわけだ。うおお。
  • 後ろの席のほうに座ってる子供の野次がめちゃくちゃおもしろい。歳のわりに妙にリアルな野次というか。自分なりに各選手の動きや調子を分析してもいる。ただ、敵味方の選手の好き嫌いがはっきりしすぎているあたりがやはりこどもだ。
  • 野次といえばこれも後ろのほうの席に座ってるおっさんがまたイイ。ラフなプレイがあって選手が倒れたときなど「ちょっとおかしいんじゃないの!」「ブー!」「足にいった!今足にいった!」とかなりの大声で叫ぶのだが、大声援が飛び交うなかで 2 階席のこんな位置から審判に声が届くわけがない。周囲からもけっこう浮いてる。でもやめない。叫ぶ。届くか届かないかじゃない、まずそれを信じるのだ。それから力を尽くすのだ。そういった雑多な声が束になって渦になって嵐になり、そこに方向性を与えて練り上げたのがこの大声援なのだ。その中に個人がかき消えようとも、しかし、ひとつの大きな想いだけは届くのだろう。たぶんサポーターってそういうことなんだなーと、ちょっと思った。
  • 横のほうの席に座ってたひとの振る舞いが腐女子っぽかったらしい。
  • なんていうのか知らないんだけどあの横長のタオルみたいなやつ、あれを興奮して振り回してるひとが居て笑った。おれの中で「インドと南米では「とりあえず手に持っていた布をブンブン振り回す」が、あふれるパッションの表現として定着している」みたいな偏見があるんだけど(一時期のインド映画でのラジニカーント氏ブームと、あとサッカーのアルゼンチン代表試合でのサポーターのひとたちの動きの二点だけでそういうことになっている)、いやー埼玉も負けてねえなみたいな。
  • TV で見てるといまいちわかりづらかったんだけど、最近のサッカーはほんとラインが高くて中盤の密集度がすごいってのが、スタジアムで見てよくわかった。ゴールキックの時とか、フィールドの真ん中からちょっと先あたりの、さらにその片側寄りの、すごく狭いエリアに両 GK 除く 20 人が固まってボールを待つような状態。フィールドのごく一部だけを使ってサッカーやってるかんじ。でもその一部の空間がめまぐるしく移動するので、それについていくだけでもかなりの運動量。攻撃側守備側の意識や作戦で、ON の状態のエリアが移動するだけでなく前後左右に拡がったり狭まったり、走り回る 20 人の意図が錯綜して見てるだけでも目が回る。とにかく速い。これが現代サッカーか。選手のひとたちは走り回りながら処理してんだからすごいなーと感心した。サッカー選手は身体能力だけでなく頭もよくないとだめだよたぶん。
  • そういう意味では、OFF の状態の選手の動きを見ようという意図は甘かった。前線から後方まで距離が近いので、OFF の状態がほとんどない。いま OFF かなーと思ったら次の瞬間もう走り出していて、走った先にボールが飛んでくる。じっくり見ていたつもりでも「おまえいつそこに居たんだよ」というような選手がいつのまにか突っ込んできたりとかして、サッカー見るには目の数が 2 つじゃ足りんなーとしみじみ思った。
  • プロサッカー選手なんだから当たり前なんだろうけど、あれだこのひとたち本当にサッカーが上手いね。なんかもうちょっとボテーッというかんじでボール蹴るひととか居るんかなと思ったけど、皆無だ。全員レベル高えよ。無茶苦茶な蹴り方しているようでも辛うじてパスがつながっていく。あれはつながってんじゃなくて送る側受ける側が必死につなげてるんだな。そしてそれくらいギリギリのところまでスピード上げないと対応されちゃうわけよな。
  • 試合は前半しばらくレッズが押していたが決定的に崩せず、逆に FC 東京が、レッズ守備陣のマークが曖昧になったところから守備を綺麗に崩して先制、しかしすぐにレッズが取り返し、さらに勢いに乗って追加点、レッズ 2-1 FC 東京で前半終了。後半、選手同士の接触でゴール前に穴があいたところに走りこんできた選手が綺麗にシュートを決めてレッズダメ押しの 3-1。これで試合が決まった…というムードにはならず、内容では決して負けていない FC 東京側が一点取り返し 3-2 に。このノリなら 3-3 ドローも十分にあるというかんじでいい空気、しかし終盤倒れる選手も出はじめてグダグダムードで終了、レッズ 3-2 FC 東京でホームが順当に勝ち。点の取り合いは素人的にも歓迎なので、みどころいっぱいでおもしろかった。
  • FC 東京の攻撃は、ゴール前で一旦溜めてから展開するかんじで厚い印象。レッズ側はカウンターサッカーがうまくいったときに得点できていたかんじ。双方ラインが高いのに攻守が入れ替わったとき体勢が整っていないということがなく、崩れていないところをどう崩すかという駆け引きが熱かった。
  • 見た印象でいうと、なんとなく FC 東京のサッカーのほうが好きだったかなー。特別それがパフォーマンスにつながっているかんじではなかったが、ルーカスっていう FW のひとが、いちいち空気読んでないかんじの動きしてておもしろかったし。動きでいうと、終盤にちょろっとだけ出場したレッズの小野が、(ほとんど出ただけというかんじだったけど)小野としかいいようのないへんな動きをしていておもしろかった。こちらもあまり試合と関係ないような細かいところなんだけど、「え、そこで振り向くんだ?」みたいな。それが試合と関係あるところで機能するときに、怖いプレイヤになるんだろう。
  • そのへんで、今日のいろんな選手の行動や行為などを振り返って、サッカー選手に求められる空気操作能力などのことを考えたりした。変える、乱す、ズラす、壊す、作る、増幅する、などなど。結果は行動にしかついてこないけど、行動にはノリの影響を受けると信じられる部分があり、ようするにそれは「勝つだろう」「負けるだろう」「突破できるだろう」「防ぎきれるだろう」という想像力が身体の動きを規定する部分があるからで、自分だけでなく味方、さらには敵の想像力のエリアと色を支配することができれば、非常に有効だろう。味方の空気を感じ取り、敵の空気も読み取って、そのうえで味方がいい空気でないと思えばそれを修正し、敵の空気に合わない形でこちらのペースにもっていく。サッカーにはルール以外に戦術があり、ルールはあまり変わらないが戦術にはトレンドがある。サッカーのルールに基づく具体的な駆け引きが、なにか抽象化されたそれのように暮らしに向けて転化できるような気分になる。

埼玉スタジアム埼玉スタジアム

非常におもしろかった。いいものを見た。スタジアムも良かったし試合も良かったし選手もよかった。サポーターがまた強烈だった。レッズサポーターはなにしろ量がまず圧倒的だったが、それに負けじと声を張り上げる FC 東京サポーターも良かった。2 階席のすみっこでも見たいものが全部見れたってかんじだ。チケット代 2,500 円だが元は十二分に取ったってかんじだなー。試合時間 90 分ちょっとだけど休憩とか選手紹介とか入れて、だいたいのところ映画一本見るのと同じくらいの娯楽と考えると、それよりコストパフォーマンスは高いと言い得る。映画じゃ観客が笑うことはあっても、よっぽどのことでもないかぎり叫んだりはしないものだが、試合観戦は怒号といってもいいレベルで感情の発散に溢れている。おれ自身何回も「うおお」と叫んだ。いずれまた来たい。ちょっと今回は出来すぎなものを見たという気がするので、次はもうちょっとしょぼそうなやつを。

で、試合後に得た感動については次の日付に回す。