THE MASK OF ZORRO
怪傑ゾロリの元ネタの映画化、という程度にしか知らない。TV でやってたので見た。おもしろかった。わかりやすかったが、同時におれはアメリカのことを知らんなということもわかった。
- 重力感のないワイヤーアクションに毒されすぎていない(おれの好きな)チャンバラがたくさん見れたのでおもしろかった。器械体操っぽい動きとかも、なんとなく江戸川乱歩氏作品など連想して微笑ましい。
- 話はすごい伝統的な時代劇様式、であることはわかるが、しかしその時代背景のことをおれはほとんど知らない。現アメリカ領が舞台だが西部劇とは全然文脈が違う。スペイン〜メキシコ領時代のカリフォルニアなので、どちらかといえばメキシコの時代劇といったほうがいいわけか。そしてそのまま定住した現アメリカ人のための時代劇でもあるわけか。複雑だ。アメリカの脱植民地化の歴史とか、すごい大雑把に習っただけだしな。これを機に調べてみるか。
- 端役のひとたちがすげえメキシコづら(←どう言ったら正しいのかわからんのだけど)ですげえかっこいい。おっちゃんイカスー。たまに無意味とも思えるような(彼ら端役の)顔アップのカットが挟まるが、そこだけ粒子感がちがうよ。昔の映画からそのまま抜け出てきたような。物語の主役はゾロだが、舞台は明らかにあの顔つきの彼らのものだ。
- おやじゾロのダンディさは異常。ラテンの血、か…。
- この映画見てて感動したのが「その他大勢」のひとたちの圧倒的な「その他大勢」っぷり。こんなモブっぽいモブ見たのってすごいひさしぶりな気がする。現代ではインド映画とかでしか見れないものだと思ってた。冒頭の処刑シーンの群集とか、クライマックスの鉱山で閉じ込めらるひとたちとか、たくさん居るんだけどあくまで「個人がいっぱい」じゃなくて「たくさん」なんだよな。ひとりひとりが主権者としてバラバラに解体されていない頃の映像というか。あれだ、昔の怪獣映画の群集って群集が逃げてるかんじしたけど最近の怪獣映画の群集ってまっすぐ逃げてるやつも居ればラーメン持ってるやつも居れば写真撮ってるやつも居れば呆然としてるやつも居ればみたいな、個々がバラバラでそれなりに数は居るんだけど「たくさんの彼ら」ってかんじがしないんだよな。曖昧な話だけども。