最近の読書
北方謙三「水滸伝」一巻を買ったはいいがまだ読み始めていない。もうちょっと待つべきかなと思って寝かせている。場つなぎに、杉浦日向子氏監修による「お江戸でござる」を読んだ。江戸風俗紹介本。なんとなく塩野七生「ローマ人の物語」にときどき出てくる「当時のローマ市内描写、市民生活の様子」みたいなノリと近い。時間的には当時のローマと江戸では千数百年違うし、もちろんひとの暮らしぶりなど全く違うんだけど。おれはわりとこのての「いつごろのどのあたりのこういうひとは、こんなかんじで暮らしていました」的な解説本が結構好きみたいだ。
この本は「NHK で放映されていた番組の名物コーナーの文庫化」という本なのだそうで、出し惜しみなくいろんなマメ知識が書いてあってわりとお得感が高い。たとえば幽霊とお化けと妖怪の違いなどについても、
「幽霊」は、想う相手がいて、その人を目指して出ます。民谷伊右衛門をどこまでも追って行く、『四谷怪談』の「お岩さん」はこちらです。
「お化け」は、その土地や物に憑くもので、地縛霊に近く、誰が通っても出るものです。井戸にしか出てこられない『皿屋敷伝説』の「お菊さん」はこれにあたります。出てくる時間が決まっているお化けもいて、その時間さえ避ければ会わなくて済みます。
狸や狐、雀などの獣類、草木が化けるということもあります。琴、琵琶、笙、お釜など、楽器や道具なども古くなると化けて出ますが、これは「道具を粗末にしてはいけない」という戒めでもあります。
お化けには、変化するものとしないものがあります。狐、狸、雪女、ろくろ首が普段人や獣のなりをしていて他のものに変わるのに対して、河童、天狗、ぬらりひょん、砂かけばばあなどは、常に同じ格好で出てきます。これらをお化けと区別して「妖怪」と呼びます。
というかんじですっきりまとめられている。