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イザナギは振り返ったのか?

実験図2 | 050605

先日(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20050408#p2)の「振り返ってはいけない」の件で、プロメテウスだけじゃなくてイザナギイザナミの離婚話とも関連があるよとの指摘をいくつかいただいた。じつはおれも最初それを連想したんだけど、おれの記憶だとイザナギは「覗いてはいけない」と言われたのに覗いたのであって、「振り返ってはいけない」と言われたのに振り返ったんではないんだよな。とはいえこのへんの記憶はじつに曖昧であって自信なし。はっきりさせるためには可能な限り原文に近い資料に当たるしかないけど持ってなし。なのでこっちは確実だろうと思い当たるオルフェウスの話を引用した。けどまあイザナギの件も気にはなる、が、手間かけて調べたいというほどでもない。微妙。こういう半端な引っ掛かり解消するにはー、ネット事典がよかろう。たすけて Wikipedia えも〜ん。

いちおう千と千尋の当該箇所の台詞をなるべく正確に引用しておこう。

「私はこの先には行けない。千尋はもと来た道をたどればいいんだ。でも決して振り向いちゃいけないよ、トンネルを出るまではね」
「ハクは?ハクはどうするの?」
「私は湯婆と話をつけて弟子をやめる。平気さ、本当の名を取り戻したから!」
「もとの世界に私も戻るよ」「またどこかで合える?」「うん、きっと」「きっとよ」「きっと」
「さあいきな、振り向かないで」

で、Wikipedia古事記の項からそれらしい箇所を引用。

イザナキは、イザナミを取り戻そうとして、黄泉国へと赴いた。黄泉に着いたイザナキは戸越しに、イザナミに「あなたと一緒に創った国土はまだ完成していません。帰りましょう。」と言ったが、イザナミは「黄泉の国の食べ物を食べたから」と答えた。(注:黄泉の国のものを食べると、黄泉の住人になると考えられていた。)「黄泉神と相談しましょう。お願いですから、私の姿は見ないで下さいね。」とイザナミは言い、家の奥に入っていった。

イザナキは、なかなか戻ってこないイザナミに痺れを切らし、自分の左の角髪(みずら)につけていた湯津津間櫛(ゆつつなくし)という櫛の端の歯を折って、火をともして、中を覗き込んだ。すると、イザナミは、すでに美しきイザナミではなく、蛆がたかり、声はむせびふさがっており、体には8柱の雷神がまとわりついていた。雷神の名は以下の通り。

これにおののいたイザナキは逃げ帰ろうとしたが、イザナミは自分の醜い姿を見られたことを恥じて、黄泉醜女(よもつしこめ)に命じて、イザナキを追わせた。

イザナキは、蔓草を輪にして頭の上に載せていたものを投げ捨てた。すると、葡萄の実がなり、黄泉醜女が食べている間、逃げた。しかし、まだ追いかけてくるので、右の角髪(みずら)につけていた湯津津間櫛(ゆつつなくし)という櫛を投げ捨てた。すると、タケノコがなり、黄泉醜女が食べている間、逃げた。だが、またさらに、イザナミは先ほどの8柱の雷神と黄泉の国の兵士達にイザナキを追わせた。イザナキは、十拳剣で振り払いながら逃げたが、それでも追ってきた。黄泉比良坂の坂本に着いた時、坂本にあった桃の実を3つ投げたところ、追ってきた黄泉の国の悪霊たちは逃げ帰っていった。

ここで、イザナキは、桃に「人々が困っている時に助けてくれ」と言って、意富加牟豆美命(おほかむずみのみこと)と名づけた。

最後に、イザナミ本人が追いかけてきたので、イザナキは千人がかりで動かすような岩で黄泉比良坂をふさぎ、悪霊が出ないようにした。その岩を間にして、対面して、この夫婦は分かれることとなる。この時、イザナミは1日に千人を殺そうと言い、これに対しイザナキは1日に千五百人生もうと言った。これは、人間の生死の由来を表している。

「振り返った」でも「振り向いた」でもなく「覗き込んだ」ってことでいいのかな。まあべつに細かいところなのでどうでもいいような話ではある。それより気になったのは、

イザナミは「黄泉の国の食べ物を食べたから」と答えた。(注:黄泉の国のものを食べると、黄泉の住人になると考えられていた。)

の部分だ。両親が豚になったあと河原に逃げた千尋に、ハクが食べ物を食べないと消えてしまうと云うシーンがある。

「口を開けて。これを早く」「この世界のものを食べないと、そなたは消えてしまう」

やっぱ黄泉っぽいよな。そして黄泉の住人になった千尋は、住人として生きていくために働かなければならなくなる。

あとついでなのでもうひとつ「千と千尋の神隠し」感想。エンディングの歌なんだけど、だんだん千尋の母親のための歌な気がしてきた。理由はないが、なんとなくそう感じる。おれが母子家庭だったからかもしれない。あとあの歌いいよな、詞と呼吸のつなぎがおもしろく、拍子を追っていくうちに内容が意識される歌い方になっている。でもちょっと怖い歌だ。涙腺の絡む余地のない歌というか。目の前ですごく上手いひとに歌ってもらって感動したとしても、おれはそれが理由では決して泣かないと思う。