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iPhone で出る「まともそうな 3D レースゲー」には期待しないことにした

iPhone で出る「まともそうな 3D レースゲー」には期待しないことにした。なかなかこれぞというタイトルが出ず iPhone ゲーの開発者たちに失望したから、とかではない。iPhone は一見して「まともそうな 3D レースゲー」がリリースできそうなハードではあり、しかし多分それは単に「そう見える」というだけのことで、実際にはリリースできないハードなのだろうかなと懸念していて、そろそろ「それはそうだな」と結論してもよいと判断した、ということだ。もとからハードの天井が低かったのだから、ソフト側の問題ではない。

  • というのは、いくつか iPhone レースゲーを遊んだあと XBOX 360Forza 2 と PGR 4 を遊んでみて、ウゲーなんだこれスゲーと今更感心してしまったわけだ。据え置き機すげえよ。利用シーンにおいて鈍重なだけのことはある。まあ普通に 360 と iPhone を横並びに比較するのは無茶なのだが、無茶であればこそ、iPhone でレースゲーが快適に遊べるのだとすれば、据え置き機的な意味での合格点を目指す「まともそうな 3D レースゲー」ではなくて、もっと違うアプローチの「まともそうではないレースゲー」であろう、と思ったのだ。
  • グラフィック性能の話ではない。iPhone は、ゲーム機として、とにかくにもフィードバックが貧弱すぎる。タッチパネルを指で押し、あるいは本体を傾けたりして入力を行うが、そこに「やるぜ」「やるんだぜ」「やったったぜ」感を込めることは非常にむずかしい。そこんところをわかっていない、というより、そういうものを重視しない用途こそを本来として作られた機械で、「ゲームも動く」のカテゴリで、iPhone ゲーは動いているのだから、致し方ないところではある。
  • とはいえ、技術の進歩と共に前進してきたビデオゲームの描き出すビジョンは日進月歩、入出力の貧弱だった 10 年前 20 年前とは基準がちがう。いまどき据え置き機においては R トリガに殺意さえ込めている。iPhone にはゲームにあるべきボタンがない、方向キーもない、バイブレーションは可能のはずだがゲームでは使われないようだし、使われたとしても 360 コントローラのように複雑かつ左右非対称な強弱制御に及ぶべくもない。
  • 今世代運転ゲーにおけるひとつの頂点といえる Forza 2 は当然として、だいぶ軽めな印象のヤンチャレースゲーである PGR4 にしても、驚くほどキメ細やかで濃密な応答を返してくる。これらと比べれば iPhone ゲーをあそんでるとき感じるフィードバックは、ほとんどないようなものだ。ショウウィンドーごしに指を滑らせるだけでトランペットの感触がわかるはずもない道理だ。
  • …まあ据え置き機の今世代において、「新しいインターフェースの可能性」を代表とするキャッチコピーで喧伝されたのはむしろ入力の拡張性だったりしたが、旧世代からの(≒来るべき)ビジョンを愚直に追及した 360 は、史上もっとも「ゲームのやり応え」を両手に伝える標準コントローラを備えることになったと思う。そのようなものと同時代に並んでしまうんだから、iPhone ゲーに過剰な期待を寄せるのは残酷だし、無理な願望は叶えられまい(「〇〇にしてはよくやった」みたいな言説に安心するようなザマは御免こうむりたいしね)。
  • たぶん「まともそうな 3D レースゲー」で一番おもしろいのは、いまのところ FastLane Street Racing なのだろうが(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20090206#p2)、これなー。まともなアプローチだからこそ製品版購入を思い切れないんだよ。まともそうであればあるほど、「据え置き機だったら」という想像に行っちゃうからね。商売としては、不得意な分野へのアプローチもあったほうがいいから、FSR みたいな路線の努力も続いていけばいいんだろうけど、iPhone ゲーの幸福探索という意味では、この方向で掘っていってもいいことはあまりないと思っている。Firemint 社の「Real Racing」(http://www.firemint.com/realracing/)にはある程度期待しているし、たぶん出たら買うんだけど、最初から 80 点満点のカテゴリを眺めるような気分でしか触れない気がしてしまうんだよなー…。

…というあたりでおもしろかった iPhone レースゲーを思い返してみると、「Black Mamba Racing」(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20081114#p2)や「Slots Racer」(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20090211#p1)あたりということになる。どちらも、「まともなレースゲー」ではない。できないことを削っていくというアプローチではなく、最初からエッセンスの一部だけを取り出して、その部分だけがおもしろければどうにかなるだろというかんじでまとめてある。BMR は正直あまり出来のいいゲームではないし、作りこみも足りないと思うが、Slots Racer はかなり高いレベルで完成してる印象だな。幅や拡張性は低いように見えるけど、コースエディタなどの展開も意欲を感じさせた。

単純に考えれば、レースにおける運転手視点でのゲームプレイは iPhone では不十分ということだから、ナビ役とか監督役とかのゲームあたりもおもしろいんでないか。