matakimika@hatenadiary.jp

WELCOME TO MY HOME PAGE(Fake) ! LINK FREE ! Sorry, Japanese only. 私のホームページへようこそ!

撮影オタはどこに居る

ものすごーく曖昧な話なので、例によってリスト形式でズラズラ書き並べるに留める。MAD について色々書いてるけど当事者ではないので間違ってるかも。いずれ詳しいひとに聞いてみたい、とか長年いいつつ、いまだに聞けてないなー。

  • アニメ雑誌を買っているようなオタの場合、アニオタのうち入口になりやすいのは、たぶん版権絵オタと声優オタだろう。雑誌には綺麗な版権絵が一杯載っているし(NEWTYPE ジェネレーション!)、声優関連の情報も多い(この場合、声優はアニメをメインとしたサブカルチャーとして機能している)。雑誌っていうと設定資料オタとかも入口だよな。雑誌付録とかでついてきた資料だけで満足できずムック本とか同人誌とかに手を出しはじめるという。
  • アニメにおいて脚本は、現場においてそれほど決定力を持たず、演出部門の裁量がかなり大きいと言われているので、アニメにおけるストーリーオタは、演出オタということになるかと思う。コンテとか収集するタイプ。
  • 作画オタは、版権絵オタとは違うわけだが、版権絵を入口として作画にハマるオタは少なくないだろう。以前は相当敷居の高い分野だったが、作画 Wiki の出現でかなり界隈の情勢が動いた観もあり。よくも悪くもインターネット以降的な流れ。
  • で、気になるのは、「撮影オタって居るの?」ということ。AE などを使った特殊効果や擬似 3D 的な演出手法など。デジタル以降、撮影部門がアニメ作品の映像面で果たす役割はかなり大きくなっていて、となれば当然その部門に注目するオタも多分居ると思うんだけど、いまいち可視化されない。作画のような「花形部門」ではないわけなので、わかりやすくファンコミュニティが形成されるわけでもなかろうし、よっぽどコミュニティ動向に注目してないと見えづらいってことかなー。
    • 3D のモデリングやアニメーション、ムービー素材の作成などは「アニメにおける 3D オタ」とかになって別カテゴリだと思うんだけど、素材が揃ったあとの 2D 合成は多分全部撮影部門の仕事ってことになってんじゃないか。
  • 最近はどうだかわからんけど、往年には自主制作アニメを制作するようなサークルも結構あった。実際にアニメを制作する工程を実践するオタクだな。作画オタのコミュニティ形成には、その時代に「実際自分でも描いたり塗ったりしてみた」って経験が結構強く影響してんじゃないかと思うんだけど、それでいうと、デジタルになって以降の自主制作の場合、撮影部分でムービーのオーサリングツールを使うことになるわけなんだよね。アナログ作業な自主制作だと、ファン側の実践的な知識習得の場としては現代の撮影部門のノウハウには絡めない。
  • Adobe 社製品の場合は、After Effects か Premier か、みたいなかんじになるかと思う。でも、たぶん AE 操作のノウハウを一番溜め込んでるアマチュアのコミュニティって、いまだと多分自主制作アニメ界隈じゃなくて MAD 界隈なんだよね。このへんで漠然とイメージしているあたりを書き出してみるか。
  • 現在いわれているような意味での「MAD」を離れて、より狭義の「MAD ムービー(アナログなビデオ編集時代の MAD 映像は「MAD ビデオ」として区別し、さらにキチガイテープ時代から連なる音声 MAD は「MAD テープ」と呼んで映像 MAD と区別する)」でいうなら、おそらくは 90 年代終盤からの「静止画系 MAD」がアマチュアのデジタルエフェクト習得の源流だ。静止画系 MAD というのは、エロゲーの画像素材を抜き出してそれを組み合わせて編集したムービーのことで(止め絵を使うから「静止画系」)、アニメ作品の映像を編集した MAD ムービーは「動画系 MAD」と呼んで区別した。なお、MAD ムービーとして静止画 MAD と動画 MAD はどっちが先にあったのかというと、たぶん動画 MAD。というか、初期の動画 MAD は、「MAD ビデオをビデオキャプチャしたもの」であることが多かった。
  • 動画 MAD はもともと動いているアニメ作品の編集によって成立している(≒「MAD ビデオの正調デジタル化」である)ため、デジタルエフェクト開発の需要がそれほどなかったが、エロゲー素材という元々動いていない素材を使った動画編集が主となる静止画系 MAD においては、デジタルエフェクト開発が盛んになった。動画 MAD でも AE 等を駆使してかなり高度な編集を行っているものが一部にはあったが、全体として「細切れにしたコマを繋ぐ」レベルのビデオ編集から脱するのは静止画 MAD と比べてかなり後になる。
    • なんでまた当時、いってみれば「エロゲーの素材を使った PV みたいなもの」が流行したのかといえば、もちろん当時オタク界隈でエロゲーがジャンルとして非常に強力だったという事情もあるが、「静止画 MAD の勃興当時のエロゲー製品には、まだ OP/ED ムービーやプロモビデオが無かった」ことが大きい。「公式に無いなら、非公式に OP や PV を作ってみようぜ」みたいなマインドだろうか。実際、最古と言われている静止画 MAD は、Tactics「ONE」の仮想 ED として制作されている。さらにいえば、後にエロゲー業界に「公式ムービー」の様式は一般化するわけだが、静止画 MAD というアマチュア発のムーヴメントはそれを後押ししただろうし(主にプロモーション効果を期待して一部メーカーが(大手ブランドに食い込むため、新興メーカーが飛び道具として?)導入、そこから徐々に浸透して「逆にないほうがおかしい」ようなムードを形成、という順番だろうか)、またその現場には静止画 MAD 出身のムービー作者も流入している。
  • …ものすっごい脱線した。で、この静止画 MAD の流れがそのまんま現在の MAD まで続いているのかというと、よくわからんのだよね。多分続いてない。というのは、たぶんクラスタがあまり重なってない。享受している側はそうでもないのだが、MAD を制作しているようなコミュニティは、伝統的にかなり閉鎖的で、系統が違うとノウハウの継承とかも全然行われなかったりする。現在の MAD 制作の主流層が「昔の MAD」を知らなかったとしても全然不思議じゃない。
  • 近年広く認知されることになった MAD といえば、まずは「アイマス MAD」ということになるかと思う。これ、かなり静止画 MAD っぽい意味でのデジタルエフェクト開発が盛んなジャンルといっていい。でもアイマスって動画素材なんだよね当然だけど。だからカテゴリとしては動画 MAD になる。と考えると、動画 MAD が静止画なみにマスクとか使いまくりはじめて以降の、動画 MAD の流れを継承した MAD コミュニティとして認識することができる…んだけど、どうなんだ。なにせニコニコ動画のアカウント持ってないので詳しいことわからん。
  • と、ここまで MAD について延々書いてきて、なにが問題なのかというと、ひとつは MAD ってアニメでいうと「撮影部門が演出を決定する」みたいな行為で、高度化すればある程度自前で素材を準備することにもなるけど限定的で、あまり高くない自由度で基本的な発想が完結している(なんでもできるわけではない、という条件下でいかに自由度を演出できるか、という競技になってる)こと。なんでもできるうえで、それでしかできないような特殊なデジタルエフェクトを開発しているわけではないので、実験的な技法が多く、またそれが喜ばれているわりには幅広くないという。それともうひとつ、今回の話ではこっちが重要なんだけど、MAD オタがアニオタとは限らない、というよりデジタルエフェクトを頑張ってるような MAD コミュニティであればあるほど、その制作者はアニメ以外のオタジャンルのファンである確率が高いわけなのだ。現在のアニメ制作においてデザインや作画と撮影は一本の工程で繋がってるはずなんだけど、それを受容するオタ側では、作画のノウハウを溜め込んでいるアニオタとデジタルエフェクト知識を溜め込んでる MAD オタは一本で繋がってなくて、多分溝があるよね、という。まあ、それ言い出すと演出オタと作画オタの間にも溝があったりするじゃねえかという話になるのか。
  • …あ、ここまで書いといてアレだけど、べつに MAD じゃなくても「自主制作デジタルアニメ」というカテゴリもあるか。DoGA CGA コンテストは、基本的に 3D CG アニメのコンテストと認識してるので微妙に違う気もするけど(「空間の中でカメラをどう使うか」という部分の重要度が高いので)、そういう中でも 2D 作品で力入ってるやつはちらほら見かけたし、それ以外のコンテスト(や上映会)もあったしな。ああいう流れの中にもノウハウはあって、またそういう技術のファン層も居るか。自主制作アニメといえば外せない新海誠氏だが、氏は当初こそデジタルアニメ制作のノウハウに注目されたけど、ブレイクしていく過程で背景素材作家としての側面を評価されていったというのも、今回の話とはズレるけど、ポイントのひとつか。おれの中では、氏は「キャラクタ作画による動きの魅力で全部持っていく」という王道を採ることが難しかったので、景観作家として素材のクオリティを極めることと、それに加えてレンズフレア職人として「普通なら背景の一部である逆光(デジタルエフェクト)にもキャラクタ性を負担させる」という部分で突き抜けていった作家という印象が強い。
  • あと、もうひとつ(大きいのかどうか知らんが)注目すべき流れになっているのが「手描き MAD」。商業アニメーションの原画を一部改変しつつトレスして、別キャラに置き換えたりして成立している、自主制作と MAD がごっちゃになったような MAD 群。近年は女性 MAD 作家の増加によって、このジャンルが拡充してきたんじゃないか説とかが言われているかんじだ。様式自体はそれほど新しいものではなく、90 年代にも 3G 退官ビデオとかあったよな(あれは完全なトレスじゃなくて「見ながら描いた」ってかんじだから厳密には違うかんじもする)。この流れが堅調に伸びれば、あるいは「作画と特殊効果の両方に詳しい実践的なアニオタ層」みたいなものが出てくるのかもしれない…んだけど、見たかんじいまのところ手描き MAD でデジタルエフェクトが凄いのってなさそうなんだよなー。まあ手描きの場合、エフェクトなんて、それこそ自分で描いちまえばいいし、むしろそうしたほうがウケるのだろうから、あんまアレなんだろうけども、むー。

とかなんとか。