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最近の読書

人類は衰退しました

Perl や書評やアルファなどで有名な dankogai 氏が田中ロミオ人類は衰退しました」というラノベを読んでいて物珍しかったので(http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50855904.html)、じゃあおれもいずれそれを読んでみようと思っていたのだけど、ラノベというのは時期を外すと途端に買えなくなってしまうもの(商品点数が多くて回転が速いので大手ブランドの人気シリーズとか以外の既刊を探そうとするのは大変)らしく、何周遅れかでの探索はなかなか大変だった。たしかクリルタイ 2.0 の podcast 収録見学で渋谷に行ったとき TSUTAYA で一冊置いてあったんだよなー、あのとき「まあいずれ買うんだけどそれは今日じゃない気分だ」とか思って先延ばしにしたのが失敗だった。

知るきっかけになったのは上述のとおり dankogai 氏のブログだったが、おれがラノベ再入門にあたってまずこれを読んどこうと決めたのには理由がもうひとつある。これが女まみれの魔法学園でドタバタする話だったり、日本刀ぶらさげて魔物とかを狩る美少女に振り回される話だったりとかだったら選ばなかった。ようはあらすじでピンときた。これはな、おれのようなおっさんオタにやさしい話だ。人類文明が衰退したあとの地上に荒廃が残らず、かわいらしい新生物と美少女が牧歌的にうじゃうじゃするだけの、なんでもない話、つまり竹本泉ねこめ〜わく」、あれに近いカテゴリということだ。たぶんこの話は、深いところではどうだかわからんが、すくなくとも表層は確実に、ゆるい。表層はゆるいのがいい。特に入門には。表層だけ堅くて中身がゆるいとか外骨格みたいな話は避けたい。いや中身がどうであってほしい的な読者としてのリクエストは特になくて(そこに読者側はこだわりませんということになっているからこそ作者側の裁量の広さをジャンルとして確保できているのだろうし)、単に組み合わせの問題なのだが、一発目にそのての作品に当たってしまうと心の準備の不足からガックリきかねない。ラノベの他ジャンルと比べた美点はなにより軽薄であることだが、のっけからキャラクタがバトルでヒリヒリしているようなやつを選ぶと事故る確率は高いと踏んだ。初回は軟着陸できればそれで満点なのだ。

で読んだ。え?これで終わり?というかんじで終わった。それで正しいのだと思った。この本はそういうかんじだ。おもしろかった。

  • タイトルにあるとおり、人類は衰退しているが、居なくなったわけではない。だからこの話の主人公は「ねこめ〜わく」のように人類がまだ居た時代から召喚されてきたりするわけではなく、当地当時代の人類だ。
  • わりあい SF として読める気がした。本編が SF というわけではなく、SF 者が読めば SF になる、という意味で。メジャー(≒映像)SF がショックとインパクト重視で核戦争や自然災害で文明の一撃破壊を描き続けている裏で文章や漫画がちまちまと隙間を埋めているかんじ。
  • べつにこの作品に限らないが、SF として読めるけど SF そのものではない、というあたりは現代的によくできている傾向なのだろうと思う。SF の読み物としてのポテンシャルはいまでも低くないと思うが、SF それ自体に付随する様々の様式は現代に必ずしも歓迎されない。そこをどう取り除くことなく、かつ描かないか、という処理として、作品で描かれるべきもの、読者に期待されるもの、以外を積極的に語ろうと思わないキャラクタの自意識、というふうに落とすのは的確な気がする。これは「よくできた主人公は、自分にとって自明であることは語ろうとしないものだ」という設定オタの第一整合点検事項にも一致する。
  • 手っとり早そうな関連作品としてはー、「ねこめ〜わく」「ヨコハマ買い出し紀行」「よつばと!」あたりを想定しておきたい(「よつばと!」はたぶん相当に遠縁だが)。読みかけで止まってるイーガン「ディアスポラ」あたりをつなげると風水的におもしろそうな気もした。
  • 妖精さんについて深く考えるのには造詣が足らんのでまた今度。