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踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!

旅行写真 | 060102

TV でやってたので見た。放映時間が三時間近かったことに一番びっくりした。CM いっぱいあったので実際にはもうちょっと短いんだろうけど(http://www.sankei.co.jp/edit/bunka/2003/august/kiji/0801od2_2.html によれば「本当は 2 時間 40 分あった」そうなので、それだろう)。

  • あまりオタ向けではないけどおもしろかった。もうちょっと細かく書くと、オタが好きそうなネタをちりばめてあるため、一見してオタ向けの面もあるかなと思わせるが、オタが好きなようにはそれらが錯綜しつつ物語を展開させないため、オタとしては扱いに困る作品。あと、まとまりはない。オタだとかオタでないとかいう話ではなく、相当崩壊してるように感じた。けどまあそれもあれよ、些細なことよきっと。
  • 「なぜ」を問うてはいけない。現実だけを見るべし。現実とは現在のことで、それはモンタージュ技法によってどんどん切り替わっていく。
  • 先週の感想と同様だが、「24」のジャックの無茶苦茶さのあとに見れば(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20051007#p3)、なに見ても OK って気分になっちゃうなあと思った。
  • この「オタ向けではなさそうなあたり」の要因というのは、つまるところ非オタ向けというアピールであると思えるので(ネタの活かしよりバランス感覚優先)、そこんところはすごく評価できる部分だと思う。オタだけが喜ぶようなネタのふりかた転がしかた実の結ばせというものは、それこそパト 2 であるとか攻殻の映画だの SAC だので享受すればよいことであって、オタにとって喜ばしいようなものを「踊る大捜査線」でまで見たいとは思わないというか。「なんとなく世間側の作品はこうであたほうがお互い幸せな気がするよ」的ななにか。そんなことを言ってたら「昔は「踊る」も十分オタ向け作品という評価だったですよ」みたいな指摘をもらった。ああ、そうかも、時代の流れに伴ったおれの感覚のズレというやつだろうかな。
  • 本作でのオタっぽいネタは、ほとんどすべて「一発ネタ」として用いられている。出オチとして処理されてるかんじというか。ネタに絡んで後にオチが用意されていたりとかしない。出たら出ただけで、引っ張らない。状況を複雑にしない。視点をシフトしない。解決に寄与しない。そういうのが見たいひとのための映画ではないと思う。

以下ネタバレ的なもの。

  • この放送の予告編とかで、ナレーター「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!完全版!」青島「レインボーブリッジ、封鎖できません!」という編集がされてて、おもしろいっていうかおもしろくなさそうっていうか、なんなんだろうなーと思ってたんだけど、見る直前に、タイトルに「レインボーブリッジを封鎖せよ!」とあるんだから、この映画のポイントは「いかにしてレインボーブリッジを封鎖するか」なのだなと考え直した。で、実際クライマックス(だと思う)は封鎖されたレインボーブリッジ上でのシーンだったのだが(撮影に使用された場所は京滋バイパスらしいが→http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%AC%E6%BB%8B%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%91%E3%82%B9 補足項参照)、そこでの封鎖のためのステップが「室井の責任で根回しをキャンセルする」だけってのはちょっとあっけなかったかなあと思った。まあ普通ならそのあっけないくらい簡単なことができないから大変なんだという話ではあろうけども。あのあと室井はどうやって責任取ったんだろうか(そこんところの手続きこそがオタ的に知りたいところで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。
  • 「事件は会議室で起きてるの」でゆうめいな氷の女キャリア・沖田のヒロインっぷりがかなり強く印象に残る。なんかもう本庁って悪!本庁って非道!みたいなすごい悪いイメージを代弁しまくってて、義理と人情でいうと人情の肩を持ちつつも一応義理側の面目も立てますよ的な印象があった本シリーズの中では、沖田の失脚についてノーフォローってかんじでかわいそうっていうか。最後の表彰式で、なんのかんのと彼女も表彰されてたりしないのかなと思ったけどそれもなし。ううむ。
    • 無駄に現場を軽視する沖田の方針は偏執的っていうかきもちわるくて、しかもその理由が作中では特に説明されていなかったと思うが、あれは室井への歪んだ片想いと妄想することで補完可能。室井はキャリアだけど出身がイマイチなのでうだつが上がらんというか少数派、沖田も出身はわからんけども女キャリアとして男社会へ挑んでいかなきゃならないので楽な立場では決してない、というか室井よりキツイ、だから同僚を出し抜いてでも這い上がっていかなければと出世の意志に自覚的で、理想と奇麗事を並べて出世ルートへの最短経路を模索しようとしていないように見える室井のクリーンイメージは彼女にとって驕る立場の怠慢にすら映る、そういう「同じ少数派同士大変ね」とか「聖人君子面できるあんたはあたしに比べればまだまだしあわせもののボンボンよ」みたいな複雑な感情もあるとして、それだけでなく、どうもあれだ沖田は室井に惚れとるネみたいなポイントがいくつかあった。まず室井とラブラブの青島とのファーストコンタクト時の強烈な牽制。彼女の世界観では雑魚であるはずの所轄の一刑事に対する異常な対抗心。あれはもちろん「青島が沖田にとって特別」なのではなく、「青島が室井にとって特別」だからだ。室井と青島の関係に嫉妬しているわけですな。ツンデレですな。そして室井へのキツすぎるふるまい。好きな男子に素直なきもちで接することができないわけです。人間関係ってむつかしいものです。ツンデレですな。キャリアとしてピラミッドに挑もうという沖田には、デレになどなるわけにはいかないという強迫があるわけだけども。で、室井はそういった沖田の心情についてちっとも気付いてない。鈍いので。それが沖田の燃えるハートにさらに油を注ぐ。けどさらに複雑なことに、沖田自身自分の片想いをあまり自覚していない。そこへもってきて「あたしゃキャリアよなめられてたまるか」とか「お目付け役としてのウザい存在・室井」みたいな仕事上のストレスもかかって、あのようになってると。
  • メインの敵は「単純な大目的でだけ意思統一が成立していて、あとは現場の判断だけで各自動いてよい」という組織。で、話の途中、縦の連絡だけで横がショボい警察では奴らには勝てないね、みたいな台詞があって、組織の構造が違うのはわかったけど、なんでそれで彼らに警察が勝てないって話になるのかがよくわかんなかった。まあなんとなくはわかるけど。漠然としていて。あんま説明されてなかったと思う。「とにかく絶対勝てないの!」て台詞で決定しときたいってかんじだった。犯人と警察が同時になにかに気付いて、ヨーイドンで自分の有利な状況にもっていく互いのプロセスがあって、その結果犯人側のほうが圧倒的に対処が早くて「こういう状況下では縦割り組織不利」みたいなスペックの違いがわかりやすく提示されればよかったと思う(そこんところの手続きこそがオタ的に知りたいところで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。なお、このへんの組織話については「BLACKHAWK DOWN」見ればよくわかるらしい(http://artifact-jp.com/mt/archives/200308/odoru2.html)。米軍がソマリアで現場近くの部隊の連携を軽視して大失敗したという話。つまりオタは踊る大捜査線 2 じゃなくて BHD 見ろと。
    • ウィルスとか同時多発テロとかそういう外部から首根っこがどこにあるのかわかりづらいような、自分たちと同じ構造で動いているわけではないなにかを相手にするときの得体の知れなさというあたりが怖いって話かなあと思ったけど、あんま得体知れないようには見えないんだよな。「単に意味不明→組織構造が違うんだ!(発明)→勝てないんだよ!(オチ)」みたいな。あんまオチてない気がしてしまうというか。もうちょっと得体の知れない度が高ければオタ的におもしろかったんだろうな。一般人がそれと知らず犯罪に加担してしまうようになっていて、誰かを逮捕しても犯罪自体は止めようがないようになってるみたいな(←そういうのがオタ向けということで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。
    • 彼らがなにをどうしたいのかもよくわかんなかった。ひとを殺して逃げもせず、二人目殺して警察煽って逮捕してみろと言いつつ逃げ回りつつヒント与えつつ勝利宣言しつつ、結局逮捕されてしまった。でもあれ逮捕されなかったらどうするつもりだったんだろうかな。べつに金品奪ったりとかもしてる様子はないわけだし。隠れ家でも貧相な暮らしというか。基本的に失業してて生活苦しいわけなんだよな。殺人まで計画しようっていう追い詰められ方もすごいし。あんま再就職しようっていうような気分ではないわけだろう。ということは、彼らはもともと適当なところで逮捕されたかったんじゃないか。橋の上で青島に勝利宣言するけど、本当は「お前らなんでおれたちを逮捕できねえんだよ!この先考えてないんだから、おれたちも困るよ!」とかいう怒りの感情だったんじゃないのか。お台場封鎖されちゃってすごい大事になって、興奮した勢いってのもあったのかもしれないけど。
  • なんで SAT が登場したのかよくわからない。まあ映画だからとかか(←そういうところに引っかかるのがオタということで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。そういう部分に納得することで、冒頭のハイジャック演習のわからなさについても納得できる仕組み。自動的だなあ。よくできてるなあ。
  • なんで猟奇殺人っぽかったのかよくわからないけど、あれだ、リストラされた 2000 人くらいひとたちの中で彼らだけが結託したそもそものきっかけが、そういった猟奇趣味のサークルみたいなところだったと妄想補完すればいいのか(←そういうところに引っかかるのがオタということで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。
  • スリ常習家族事件の絡まなさもちょっとなあと思ったけど(恩田が撃たれるところで絡んでるけど無理矢理感が高いっていうか、前作で青島が刺されるのと同様よくわかんないシーンだ)、吸血鬼事件の扱いは、ちょっとこれはひどいなあと思った。けどまあ個別の事件がそれほど関係なく進行して解決するのは、本シリーズでは珍しくないことかも。なんかいろいろあって最終的に諸々のエピソードがレインボーブリッジに集束していって、必然的に役者がレインボーブリッジに集まり、最大の難問を解決したついでにうっかりすべての事件がうまい具合に解決した、みたいなんだったらオタ的に嬉しかったかもしれない(←そういうのがオタ向けということで、本作はオタ向けじゃないのでそこをカットしたという正解例か)。…吸血鬼事件は一応その筋ではあるわけなのか、でもちょっとあれはな。(「フォローされてますよ」って設定かもしれないけど)被害者たちが物語的には放置されすぎというか。…あ、いちおう猟奇つながりっていう意味もあったのか?
  • カメラ監視システムの運用に関しては「24」とかでそれっぽい描写が見られるので、本作での扱いについては全スルー。いちおう、画像解析のほうはともかく、マイクの指向性はすごいなーとは思った。「分析する」と言った 2,30 分後に有効な結果が出てくる 24 のほうも十分すごいけど。監視社会こえー。
    • 事後にログを集めて解析して証拠にするとかが現実的な気がするけど、そんな膨大にログを保持しつづけられるわけでもなかろうし、実際にこういうことやるとしたらどんな運用になるんだろうかな。

というかんじで細かく書き出すとまだまだまだまだいっぱいあるけど、「あまりオタ向けではないけどおもしろかった」と書けばそれで済む話なんだから、このへんで終わり。おもしろかった。