ジェネレイターガウル
昨日のつづき。おれの中で「ジェネレイターガウル」は「宇宙の騎士テッカマンブレード」の正当後継ということに決まったので、その流れで羅列してみよう。
- ジェネレイターはテッカマンと比べるとボルテッカ不足だが、それはそれでよし。
- ガウルは必殺技らしい必殺技を持たない。いはゆるフィニッシュブロー。テッカマン的にはボルテッカ。ガイバーでいうとメガスマッシャー。モーコンでいうと究極神拳。ガッチャマン F におけるハイパーシュートとか(ちょっと趣きが違うか?)。肉弾戦後は(光モノの)飛び道具でトドメというのはほとんどお約束で(仮面ライダーとかもライダーキックをはじめとするジャンプ始動のとどめ技を持っている)、それがないというのは意図的な排除だろう。ジェネレイターはコアを奪われると消滅(?)してしまうことから、それを奪いあうっていうか互いの胴体から引っこ抜いて砕こうとする戦いになる。ひたすら肉弾。この点でガウルは破裏拳ポリマー度が高いといえるかも。
- ヒーローやヒロインが怪人とひとしきりプロレスやった挙句に眩い光の必殺技でトドメを刺すのは一種の強制浄化といっていい(←勇者王ガオガイガーのゴルディオンハンマー使用時の発声「光になれー!」などは象徴的)。感情線のぶった切りというか塗りつぶしというか、光の無属性感によって敵が生前に持っていた様々な属性や印象をきれいに消し去って、味方の勝利で上書きしてしまう。
- ガウルはその手段を持たないので、ガウルの戦闘は視聴者に「それによってなにかが解決した気分」を持たせない。その表現のされかたにタツノコちっくなヒーローの鬱屈が継承されているように感じた。ガウルは現れた怪人をとりあえず倒すが、そのこと自体は問題解決へ寄与しない。問題を根本的に解決するには時間と機会が必要で、主導権を彼は持っていない(それはコウジとリョウの仕事)。ガウルはあくまで守る男であり、攻める男ではない。みんなが勝つまでおれは守るぜという戦い。そういう役割を己に課している。
- 怪人出現によって起きた諸々の問題が、怪人の消滅によって解決されると決まっているわけではない。それでも怪人が光に飲み込まれて消えれば「大変は大変だったけど、ひとまずよし」となんとなく納得しがちだ。光の必殺技は多少無理矢理にでも大団円をもってくるための矯正力の強い手段といえる。敵を光で浄化するような戦いは、ガウルの戦いにそぐわないのだ。
- したがって、ガウルは各話毎のカタルシス感がヒーローものアニメのカタルシス平均(そんなものがあればだけど)より若干低めで安定しているということができると思う。とりあえずヒーローが最強に強まってスカッとしたいというような見方ではいまひとつ楽しめないだろう(そういう欲望に対してなら、カタルシスとカタルシス感はほとんど同じ働きをする)。けど、「なんか騙されてる気がする」というような、微妙に自意識がとんがってきた頃合のオタにはこれくらい正直に「いやー戦って勝ちましたけどあんま事態は良くなってないですけどねー」と出したほうが好感は得られるんじゃないかなと思う。
- 戦い傷つくが不具にはならないニューヒーロー。
- テッカマンブレードの相羽タカヤは激化する戦闘の中どんどんその身をこそぎ削って最終的にカミーユよりひどい状態になったわけだがジェネレイターガウルのガウルはズンボロになりながらも結局なにも失わなかった(まあコアは失ったのか)。これは状況とか設定とかがどうって話でなく、ともかくそのような話を作ったという意味で、ああブレードを踏まえてガウルは新しいのだなと思った。
- 身内と骨肉の争いはしないニューヒーロー。
- テッカマンブレードの相羽タカヤなどは敵が全員身内であってまさに悲劇の宿命というか過去に決着をつけるための現在でありそこから先に未来などはなし!というかんじだったが、ジェネレイターガウルのガウルは結局なんのかんのいって最終的に己の手を血に染めるルートを回避して未来へ進んだ。これがブレードなら、いやさ天空戦記シュラトであっても、リョウやコウジは明快にガウルの敵になったろう(←オタ的にいうと「コウジの声優が三木眞一郎氏でなく子安武人氏だったらあぶなかっただろう」)。途中に諸々悶着はありつつも、状況や設定を含む周囲が最後に衝突を回避するルートを選択したように思えて、ああガウルは新しいのだなと思った。
- リョウがテックセッターした姿をみて、なんとなく木根尚登氏を連想したりした。CAROL かよなつかしいなおれが。いや似てないよべつに。でもきっと木根尚登氏がテックセッターするとこんなかんじだ。いやテックセッターじゃなかったインクルードセルでジェネレイターに転身だポリマー。
- タイムパラドクス問題
- とりあえず「パラレルワールドなのだよ!!」で説明できそうな気がするので問題ないんじゃないかなと思った、が、なんか放映当時には結構オタ間で議論があってたっぽいなあ。固有のタイムトラベル理論でも提示されてたのだろうか。
- 「同一時空に同一人物が二人存在する」点が問題になっていたようだ。あー、○○保存の法則系のアレか。でもそんなこといったらドラえもんのタイムマシン話はどうなるのだ!あと「エルリックサーガ」のストームブリンガー無限増殖とかもか。そこから少女革命ウテナの最終話あたりともつながるな(少女を貫く百万の剣!)。なんかまあ熱とか質量とかなんとかは、プラズマとかがどうにかなって帳尻合ってんすよきっと。結果をみればどうにかなってるのだから、そこから逆算すれば「どうにかなった」としかいえないわけだし。現れることなく崩壊していった世界とかもあるかもしれないけど。