自転車に乗る

ひさびさの自転車。半月ぶりくらい。フォオオーとてきとうに転がす。やはり自転車はいい。捨てがたいメディア。インターネットよりも優れている。なんという情報量、フィードバック、そして個体の軽さ。加減速、バランス、重心、移動。ママチャリで道走ってるだけでこんなおもしろい。現実はすさまじい。圧倒的な商店街。一生分の路地裏。交差点の雑踏。これほどの情報価を素通りしてゆくふつうの暮らし。馬鹿な。溺れそうだ。でも溺れない。自転車に乗ってるから。溶け合う自己。主体性を心配する必要のないツールのラクさ。それは惰性でもある。ゆるい楽しみ。坂道を下る。坂道をのぼる。きつかったら降りる。押す。どこまででも行けるが、そんなことはしない。世界の果てまでいかなくとも、角を曲がれば世界は開ける。それが自転車。自転車のあるくらしは素晴らしい。雨がぱらついてるというのに、なんの目的があるでもなく池袋周辺を、当初予定を大幅に超過してのんびりと走り続けた。