matakimika@hatenadiary.jp

WELCOME TO MY HOME PAGE(Fake) ! LINK FREE ! Sorry, Japanese only. 私のホームページへようこそ!

おれと藤沢周平氏作品

おれはたぶん時代小説ものの作家では藤沢周平氏が一番好きだ。

(以下敬称略)最初に読んだ時代小説は司馬遼太郎、小学校の頃だ。まだ漢字のむずかしいやつがたくさん並んでるとだんだん眠くなってくる年頃だったと覚えている。まあそれはいまでもだけども。程度の問題か。小学校高学年以降になると、だいたいクラスの男子に1,2人は司馬遼太郎または三国志のファンが居るもので、おれはどちらかというと三国志は武将の名前を覚えるのがめんどくさそうだしあんなたくさん居てどうするんだもうちょっと整理しろみたいな抵抗感があったので、どちらか選べというなら司馬遼太郎だろうとそいつらの影響で読み始めたのだが、まあクラスで貸し借りしながらしばらく読んでみて「どうもこのひとの本はおれはあまり好きではなさそうだな」とわかったので(キャラクタの陰影が薄い気がした)、次いで柴田錬三郎をしばらく読んでみたがこれもいまひとつで(せっかく血なまぐさいのに淡白なところがあって食い足りない気がした)、次に読書感想文がてら山本周五郎をしばらく漁ってみるとこれはなかなかいい具合なんだけどもちょっとジメジメしちゃうかなあと思って、それでは池波正太郎はどうかと思ったけど「これはもうちょっと大きくなってからでいいかな」とスルーして、山田風太郎はよかったんだけど「いやいやこっち方面の刺激がほしくてこのへんの本棚に来てるわけじゃないから」とまた別のものも探すかんじで、とかなんとか紆余曲折して最終的に「なーんかよくわからんけどこないだ読んだ藤沢周平蝉しぐれ」がいい具合だった気がする」と思い至って(以上敬称略)、以降藤沢周平氏作品のファンなのだった。といっても、「蝉しぐれ」のうまみが当時に理解できていたわけではないのは、上述のとおり。

藤沢周平氏作品をほかと比べて好きになったのは、たぶん最初は「あっさりしてて読みやすいから」とか、そういう部分からだったんだろうなと思う。ガキはまず手癖を見るの法則。だけども決して薄っぺらいわけではなくて、これは食えば食うほど厚いんだということを、中学以降徐々にわかるようになった。学生にもおすすめだけどもメインターゲットはサラリーマンだよなやっぱ。侍だけどやってることはだいたいサラリーマンみたいなもの。その点でいえば藤沢周平氏作品は「課長 島耕作」とほとんど同じジャンルと言っていい。といってもあんな出世しまくりなあれではなくて、どっちかというと地味な話。あんま出世とかしない。で、ほとんどサラリーマンといっしょといっても侍は侍なので刀持っていてたまに斬りあいとか切腹とかのイベントがあったりする。けどテキを斬ったらめでたしめでたしとかいうわけではない。非日常は日常の一部に過ぎない。そういうふうな諸々を包んで過ぎていくおだやかな時間世界がある。なんかまじめに暮らしてまじめに死ぬのは悪くねえなあと思う。日本の心のような。踏んでる土を信じる感覚というか。雑木林を慈しむ視線のような。