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ステップを省略したり省略しなかったりするローカル傾向@オタ会話

03/11/03 の文化の日に開催された第二回文学フリマという、同人誌即売会に参加した。

目的のひとつは「Natural Color Paranoia VOL.01」と「月猫通り No.2100」の購入だったのだが、まあ同人誌に限らず本というものは、それがリリースされているという事実を前にして個人の取りうる「それをがんばって読もうとする」と「それをがんばって読もうとしない」の二つのスタンスは等価であるとも思えるので、べつに無理に買いにいかなくてもいいのだが、それでも文学フリマにがんばって行こうとしたのはもうひとつの理由、「文学フリマに参加しているようなひとたちの、その休憩所的な場所における雑談の呼吸を知りたい」と思ったからなのだった、それは実際に行ってみなければ体感できないし、体感せずとも知識として知る手段はまああるのだが知識として知ってもしょうがない。

オタ会話に関する分類のうち、「会話ステップの省略/非省略」という分け方でいえば、もちろんステップを省略する会話はより刺激値が高く(言い方を変えれば挑発的)、ステップを省略しない会話は刺激値が低い(言い方を変えれば儀式的)。会話はただ刺激的であればよいというものではないので(単に刺激値が高いだけで空疎な会話というのはよくあることだし)、べつにどっちがよいということはないが、どちらかといえば先鋭的であろうとする(かつ実際には先端までは到達していない)層において「ステップ省略会話」が好まれる傾向があり、それ以外では「ステップ非省略会話」が好まれる傾向があるかなあと思っていて、そして文学フリマ会場における雑談では、たぶん「ステップ省略会話」のほうを多く耳にすることができるだろうと予想していた(というかおれはそういう会話を聞きに行ったのだようするに、最近ステップ省略会話風景をするオタを見る機会が少なかったので)。

おれの会場滞在時間はごく短かいものだったが、思ったよりもたくさんのステップ省略会話のサンプルを得ることができて、すげえ満足したのだった。というか逆で、あまりに短時間でおなかいっぱいになってしまったので、さっさと出ざるをえなくなってしまった、受け皿の準備が不十分だったということで、結果として「予想していたものを入手すること」はできたが「予想していなかった事実を耳にすること」に関しての時間を割くことができなかったともいえて、これはおれの未熟さのひとつだ。残念。

全般的に、会場内ではやはりステップ非省略会話が大半のようだったが(ふつうに社交的な話題が多かったこともある)、休憩所での「知り合い以上友人未満」程度の(つまり「ビミョーな」)関係と思われる同性同士の雑談のうえで、多くステップ省略が行われていた。これこれこれ。下段や中段の攻撃を互いに封じて行われる上段のみの微妙な駆け引きっつーか。話題にのぼるような固有名詞に関してはおれは知識がないのでさっぱりわからないわけだが、しかしその遣り取られ方がとてもおもしろく、そしてあーやっぱ何のジャンルのオタであれ通じる文法はある程度共有されるのだなあとつくづく思った(会話されている内容はまったく違うが、単語を換装したらPC談義やエロゲンガー談義とまったく変わることがないというか)。

オタ会話サンプリング名所の第一といえばやはり秋葉原なのだが、秋葉の場合ステップ省略会話の「場」は薄ーく分布しているかんじなので、ただ漫然と秋葉の路上をぶらついているだけでは(類型的には理解されつつも)そうした会話を実際に聞ける機会がそう多くない。ので、秋葉原文化圏は「約束された順番をきちんと踏まえつつ、まるでそれが儀式であるかのように整然としたログを作成する目的で会話をするのが好きなひとたち(互いの持っている知識や踏まえているフィールドに関する確認作業が終わっているような、長い付き合いの友人同士なら、通常ある程度のステップ省略が対話の前提となるのが自然だが、それでも敢えて長く付き合っている者同士でも互いの話題についてステップを省略しようとしないひとたち)」の集まりと見られがちだ、が、木と森のどっちを見れば本質を見たことになるのかが永遠にわからないような土地の話で、こうした論議は意味がない。

というような話は、たぶん挑発的なオタ会話をやっているひと自身にはたぶん体感できる感覚なんだと思う。そういえば文学フリマで買ってきた「Natural Color Paranoia VOL.01」に収録されている「わらのことば」でも、そうした感覚を前提とする(と思われる)台詞が出てきていた。04■「She's Lost Control」の最後から三行目、「要約しすぎた」がそれに当たる。