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メモ3

現在は消費者のほうが優位な時期だろう。生産者側にまで消費者の理屈が達しているってことからもうどうしようもなく明らかだ。どのジャンルにでも王は相変わらず君臨するが群雄割拠にもほどがあり、しかもかれらはその流れをコントロールするちからを持っていない。

ただそれはちょっとでもまっとうな業界ならどこだって普通はそうであるはずで、現代で王様になったからって力が振るえるなんていう原始的な状況はオタ関連でしかありえなかったはずだ。だから「多少マトモになった」ということかもしれない。

たとえばなんというか 10 年前マイケルジャクソンとかものすごかったわけだけど(客観的に一世を風靡したとかまではいかないだろうとは思うけど、それでも現在から見れば比類ない)、彼の凄さを支えた力というものは、その卓越した才能もさることながら世間の状況も巨大であったはずだ(それに乗っかる天賦があればこそともいう)。新しい、音と光の流通のしくみにのっかる武器としてのパフォーマンスが群を抜いて先鋭的だというアドバンテージもあったろうし、ビートルズとかなんとかが世界を制するための仕組みとして当時すでに脂が乗りまくっていた既存の流通体制にも力を発揮しえたろう。
世界的にインフラもコンテンツも個々の消費者の意識もキャパシティも全然ヘボヘボだったから、なんかすげえやつが来たとなればその他諸々の連中は十把一絡げに投げ捨てられてスーパースターに諸手を挙げて大歓迎、適当にレコード屋行って 10 人居たら 10 人とも名前知ってて 8 人くらいは聴いたことあって 4 人くらいは私ファンですとか言っちゃうような状況。それだけの人間が同じ音楽を受け容れてるっていうのはそれはファンとしては奇跡的にうれしい事件だけど、客観的にそれを鳥瞰してみれば「おまえらそれしか聴くものないんかい」とも言える。

貧困だからひとつにまとまるし、ちからは集まっていくはずだ。みんなに暮らしの余裕があったらでっかい元気玉なんかできない。そんなことしなくても十分楽しいから。

だからだんだんべつにショボい環境というわけでもなくなってきているオタ周辺事情の中でスーパースターなんか生まれる余地はなくなってきているだろうし、作られなくなっていくだろうと思う。それがまた出るようなことがあれば、それはそのスーパースターが消費者たちの慢心を衝いて度肝を抜くような見事で自然なパフォーマンスをやらかした場合か、それでなければ消費者がそろそろ弱くなって停滞と頽廃を過ぎて一周してショボい時代に戻りつつありますよーというサインだと思う。

生産者がだんだん兼業農家ばかりになり、消費者もだんだん家庭栽培とかやって、立場は結局同じにはならないんだけどなんとなく境界線が曖昧になっていくかんじ。プロフェッショナルもプロ市民も必要ない溶け合ったコミュニティ。

現在スーパースターは居ないだろう。そう見えるひとが居るとすれば、それは形骸化された過去のスーパースター文法を、実際にはそうでもないひとに対して適用しているメディアが残存しているだけで(ことばや文法は使えば使うほど消費されてしまうものだけど、かといって使わないでいると腐るし錆びていざという時使い物にならなくなってしまうから、手段に頼って暮らしているひとはそういうことをやらざるをえないだろう)、たぶん彼らの周辺に熱量はない。まぶしく熱い力の結集みたいなものがあったほうがそりゃ楽しいから、そういうものを「んー」とか横目で流して通り過ぎていくのはさびしいことだけど、でもそれができている現状っていうのはかれらに力を送らなくても十分世界が暖かいというありがたさの証明でもあると思うからおれはさびしくない。

というのはしかし、やっぱりちょっと強がりっぽいなあ。

去年あたり特に 2ch で見ることのできた「神」の台頭→消費の流れというものは、あれは粗製濫造→大量消費のシステムでガンガン大安売りをしつつも「それでもやっぱり手ごろな神仏を手元にいっこ置いときたいっていう欲求だけは捨てきれない」みたいなボンクラの情念のあらわれなのかもしれないし。