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トラックバックとソーシャルブックマークの違い

トラックバック(TB)とソーシャルブックマークSBM)は、全然違うものだけど、ブログ初心者に説明するときにけっこう役割の重複を起こしやすい。ので、書き出してみよう。ほんとはもうちょっと「これとこれは関係あるぜシステム」全般についてまとめておきたいところだったが、どこから説明したらいいものかわからないので、手をつけやすいところから。

TB と SBM の根本的な違いはというと、「TB は機能で、SBM はサービスである」というかんじか。

  • TB は、TB されたサイトに付属する
    • ので、TB されたサイトの管理者にとって、届いた TB は「自分の管轄内」である。
    • ので、TB SPAM が来た場合、これを削除する手間はそのサイト管理者の領分となる。
  • SBM は、SBM サービスに付属する
    • ので、SBM されたサイトの管理者にとって、つけられた SBM は「自分の管轄外」である。
    • ので、(いまのところそういう問題は出てないようだが)今後SBM SPAM のような問題が起きた場合、これを削除する手間は、その SBM サービスの管理者の領分となるはずである。
      • ただし、この場合の SPAM というのが「誰にとって SPAM と感じられるものが SPAM であるか」は一考の余地ありだ。

TB は「TB を飛ばす者」と「TB を受け付ける者」の二者さえ存在していれば成立する(個別の二者関係なので、一括には管理されずある意味煩雑)。対して SBM は、情報共有という性格上、どうしてもポータル的なサービスとして誰かが胴元をやる必要がある(逆にいえばそのひとが「やめる」と言い出したら、そこに集積されたデータは一度に全滅する可能性がある)。このちがいを要約すると、TB は「自前でサーバに blog ツールをインストールして使ってる」というようなパワーユーザばかりだった開拓時代の頃からの伝統で(←TB は「分散しているものを連結する」機能といえる)、SBM は「ブロゴスフィアもだいぶ都市化が進んでポータル前提なサービスが成り立つようになってきてから」の新世代サービスというかんじなのかなという印象になるか(←SBM は「集積されてはじめて意味のある」サービスといえる)。

  • 日本の場合「ブログってのは、まず自前で Movable Type をインストールしてだな…」みたいな自主自立ノリはあまり流行らず、早くから企業サービス等のレンタルブログがシェアを占めたため、ブログ自体に「どこかのポータルサイトにぶらさがったもの」という印象があり、その意味で(まさに「どこかのポータルにぶら下がらないと」成立しない)SBM というサービスへの抵抗感も(そして新味も)それほどはなかったのかもしれない。
  • それでも SBM が「新しいもの」であったのは、SBM が「相手がどこでブログをやっていようと(またそのブログが TB を受け付けているいないに関りなく)、というかそれがブログ以外であろうとも、お構いなしにサービス内で紐付けしてしまえる」強力なサービスであるという点。一極集中の強みというか。これは「相手がそれを受け付けていなければ成立しない」TB よりも強力だ。

そして SBM には、サービスであることによって「関与した(された)者へ参加を要請する」システムとなっている点も補足しておくべきだろう。

  • 「TB する側」「SBM する側」としてみると、TB と SBM はあんまり違いのないものなのだが(どっちも「紐付けするためのもの」だ)、「TB される側」「SBM される側」としてみると、TB と SBM は全然違うものだ。前述のとおり TB は「自分のサイトに直接届く」わけなので管轄内だが、SBM は「外部で勝手にやってるだけ」なので管轄外ということだ。外部で行われているものなのだから、そこに関与したいと思うひとは、当然「(管轄内から出て新たに)そこへ参加する」必要が出てくる。
    • これを解消するためには…、たとえばはてブの場合「エントリ詳細ページが TB を受け付ける」ような仕様になればいいのかもしれない(←「このブックマークへのトラックバック」だ)。
  • これに似た立ち位置のサービスとして使われたものとして、はてなの場合「はてなブックマーク」に対して「はてなアンテナ」がある。アンテナは「WWWC」や「WWWD」などのページ更新チェックツールの web サービス版みたいなかんじで、昔から個人が勝手にやっていたものだが、これを企業がサービスとして提供した場合には「あなたにも使える web サービスがここにありますよ」という宣伝として、サイト管理者に対してアピールできたわけだ(リファラに CM を埋め込むという点で、ある意味リファ SPAM とでも呼ぶことができるかもしれない)。じっさい初期には、「自分のサイトのリファラにある「はてなアンテナ」というサービスで「はてな」という会社を知った」サイト管理者も多かったんでないかと思う。この意味で、はてなは「まずアンテナでサイト管理者に認知され、次にダイアリでそのサイト管理者を取り込み、その結果としてサイト読者を取り込む」という順番でユーザを獲得していくモデルを展開してきたわけかなと見ることができる。で、次世代の(広報装置としての)アンテナ的役割を担っているのがブックマークというわけだ。昨今では「自分のサイトのリファラにある「はてなブックマーク」というサービスで「はてな」という会社を知った」サイト管理者はけっこう居るんじゃないかと思う。
    • RSS もそうじゃんといえるかもだが、あっちはもともと(TB 同様の)分散志向の産物っぽいのでよくわからん。「管理者→読者」というよりは「読者→管理者」という順番で取り込んでいくモデルっぽいかなあ。
  • さらに TB との違いとして、「サイト管理者から見た場合の直接関与者が、サービス提供側でなくそのユーザである」という点が良いわけだ。TB で広告を打っても「なんだ商売かよ」と簡単に SPAM 扱いされて終わりだが、アンテナにせよ SBM にせよ、それらは直接にはサービスを利用しているユーザ個人が活用した結果として外部のサイト管理者に届くので、わりと素直にユーザ同士のコミュニケーションとして関係が成立する。サービス利用者に自発的にエージェントになってもらおうというか。なんていうのかしらねえけど一歩先ゆくビジネスパーソン的な win-win 関係っていうんですか。

さらに「場としての性質」として、TB は「自分(と相手)のために打つ」ものであるのに対して、SBM は基本的に「SBM サービスの質の向上のために」利用されるものであるという点も補足しておくべきか。しかしこのへんはどうにもおれの理解が足りておらず、説明のむずかしい領域だ。

  • TB は単純。「自分」と「サイト管理者」の二者関係であるので、その利用目的は相手と自分の関係構築に集約される。
  • SBM は複雑。一見「自分」と「サイト管理者」の二者関係のようでもあるが、実際には「自分」と「SBM サービス」の二者関係だろう(SBM においてサイト管理者は外部者であるから)。そして SBM は情報が集積されてナンボのもの。活用しようと思えば思うほど積極的な参加を要請し、そしてその努力はあくまでも「SBM 利用者全体」に還元される。
  • それでもあくまで利己的に、また「サイト管理者との関係上」で利用したいと願うなら、SBM をある種の「捌け口」として活用するしかないが、それはほかの SBM 利用者からノイズ扱いされてしまう。
  • 黙々とブックマークし続ける限りにおいて SBM 利用者は「ブックマークする消費単位」である。

とりあえずここまで。