Avalon
なんかこういうときはポーランド語聞きながら寝たほうがいいかもしれないと思ったので、押井守「Avalon」を見ながら寝ることにする。けど Avalon はおれにとってかなりエキサイティングな映画なので見ると寝れなくなるような気もする。押井氏の実写映画はよく快眠映像と言われ、だいたいの作品についてはまあそうよなと思わなくもないけど、こと Alalon については同意できない。走査線の狭間の漆黒が懐かしさの記号と化してしまった現代で、この映画の見方を共有できる人数は、どんな立場の人間であれそう多くないのだろうとは思う。それにおれはいはゆる「正しい見方」みたいなものへの全般的な興味を、予備校〜大学の頃あいで徐々に失っていった。そのこと自体珍しいことではないが、そういった喪失を経たあとにどう過ごすかで人間の感じ方は大きくバラけると思う。すくなくとも当事者的な振る舞いを捨てるつもりでないと、また大きな流れへ回帰するための道筋はなかなかみつけられないだろう。そうしたいと思うこともない。
いまのところ、なにか底の深い映画だとは思ってない。そういう感覚を必要としていなかった頃の感性とリンクし、代表しているように感じられる映画だ。つまりは Wiz や Rogue ということになるのだろうが。それほど単純ではないが複雑でもない。これではないという気もしている。これより十年前に感じたいとうせいこう「ノーライフキング」ほどのジャストフィット感ではない、…が、むしろだからこそ、この軽さにこそ信用できるものがある気がする。