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母から電話

ガンプラ組立中 2 of 4 | 050830

母が携帯電話を買ったそうだ。自宅電話がプッシュホンですらないはずの母に、リモコンが苦手でレコードばかり聴いていた母に、携帯電話が操作できるとは思わなかった。驚いたことにメールも使えるらしい。メールアドレスを教えろというのでごまかすのに苦労した。プライベート用のアドレスを追加する必要が出てくるかもしれない。知らないうちに環境は着実に未来化されていく。電子立国日本は伊達じゃなかった。

子供の頃、科学はいずれ宇宙へ向かっていくものと信じていた。暮らしを便利にする科学は人類のくらしの形態の多様化や居住可能範囲の拡大を促し、やがて狭くなった地球を離れ人類は宇宙へと拡散していくのだろうと。ロケットの夢は最高の芸術品に違いなかった。それから年月が流れ、まさかこんな狭苦しい暮らしになるとは思いもよらなかった。科学はひとをつなげる。遠くても速く、近ければ太く。そしてほとんどのひとは遠くへは行かず、だからみんなが太く繋がれた。つなぎとめられたくなければそのスピードに負けないくらい早く高く遠く拡散していかなければならなかった。それこそがおれの予感した未来だった。おれはそれが可能になる年齢を待ち、スタートダッシュから勢いを殺さず逃げまくって東京まで来たつもりだったが、まだ十分でなかったようだ。打ち砕かれた科学はおれを月に運ばなかった。ならば地球の上に暗黒を探すしかない。アフリカとか南極とか?国境でも越えない限り手遅れだが言葉の壁を越える意志力がおれにはもはやありそうもない。せいぜい東京より北に逃げるとして次は仙台か?ギリギリ北海道まで行ったあと最後は沖縄とかだといいなあ程度の妄想しかふくらませることのできない今のおれだ。踏みとどまって戦う母を尊敬もしたが、そうなりたくなかったからこそいまのおれがある。しかしおれもやがて囚人の戦いをはじめなければならないのだろう。流されはじめる前に決意を固めなければ無残だ。手遅れだとは思わないが、もうあまり時間はない。おれの背中に翼はなく、足腰もすっかり弱ってしまった。太陽に追いつかれれば次の夕暮れを待つしかない。

とりあえずは、いつ「mixi ってのがあるんだけど…」とか言われないか心配だ。