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ADV に似た光景のメモ

一昨年あたりから漠然と気にしている「趣味としての ADV 制作」なのだが、最近引っかかっているというか、専門的なこととかがわからないので気にしたいけど気にできずツルツル滑ってることがあって、それは「ADV の背景に転用することを前提とした写真撮影に必要な機材・知識はなにか」ということだ。どっかのサイトでそのものズバリ「エロゲー背景を撮ろう」みたいな講座やってくれてるといいんだけど、世に写真オタが多すぎて写真情報サイトのどこを見たらそういった知識が手に入るのかわかりづらい。

以下、雑然とメモ。

  • 前提
    • 背景は多少パースつけたほうがそれっぽい。
      • むしろパースをつけないと退屈な絵になってしまう。といってもそれにのっかるフェイス演出とガチャガチャするようでも困るので、基本的なイメージは「通常背景は一点透視風」「イベント背景は二〜三点透視風」とかか?
      • 参考:透視図法→http://www.fsinet.or.jp/~maoi/tousi.html
    • 背景(通常)の画角を標準として、アイテム・小フェイス等は望遠気味(弱パース)、イベントグラフィック(一枚絵)は広角気味(強パース)のレンズを想定して作成するとそれっぽくなるはず。
      • また大フェイス(背景に重ねるキャラクタグラフィック)は望遠で描くことになるだろう(パースをつけた大フェイスは、置き場所が背景に対して確定してしまい(または背景のどこに置いても不自然になり)、スクリプト演技を困難にするため)。このことから「もともと ADV は画角の違う素材が一画面中に混在するメディア」といえて、ようするにあんま細かいことは気にするなと。やりたいのは「気にしていい範囲のことに気を配っていくための知恵の再発見」。
      • パースを合わせていきたければ、実背景はスフィアマップとかにしておいて、大雑把な環境データとキャラクタを 3D で持っておき、諸要素に合わせて逐次キャラクタをレンダリングしてスフィアに貼り付ければいいみたいな話になるかな。いっそフル 3D にしたほうがよさそうではあるけど。
    • 背景作成(撮影)前に、まず主人公の身長を設定しなければならないだろう(これを決めておかないと、背景ごとに主人公の一人称視点の高さが違う写真が出来上がりかねない)。
      • 画面のどこにアイレベル(消失点の高さ)をもってくるかを意識しつつ(←完全水平が常に正解とは限らない)、同じ高さの三脚で写真撮ってれば、あまり問題ない背景素材一式ができあがりそう。
      • ザッピング式のシナリオの場合、視点者の身長にあわせて背景を設計するというのもアリかも(手描きの場合コストかかりすぎるけど、写真なら三脚の高さ変えて何回か撮り直すだけで済むから)。いい効果を生むかどうかは妄想困難だけど。
    • 人間の視界はだいたい 160 〜 170 度。でもそれ全部を「人間の視界の一部に収まるサイズ」であるところのモニタに収めてしまうと、かなり奇妙な絵になってしまうだろう。
  • レプはふ:漫画の背景を描いてみる
    • http://sv01.aqua.cc/~u2/h/main.htm
    • 「てっとりばやく漫画の背景をトレスで描く」「下描きから漫画の背景を描く」どちらも大変おもしろいが、とりあえず今回参考になりそうなのは「トレスで描く」の手法。これを逆アセすれば最適の素材はおのずとわかる、はず。

漫画背景技法は清く正しく伝統も格式もあり、それを中心に眺めれば、エロゲー背景などはいっそその枝流の技術といってもいいのかもしれない(2D とはいえエロゲー背景も CG なのだから、漫画の流れ以外にも CAD の流れとかがありそうだけど。これは「アニメの背景会社のひとが水彩とかでアナログ量産→スキャン」の現代エロゲー制作より、「社内のひとがライン描画とか使ってゴリゴリ電脳手作業」の旧来的なエロゲー制作のほうがデジタルぽかったのかもしれない)。ただ、漫画のノウハウはなにしろ膨大すぎるので、エロゲー背景について参考にできるのはそのごく一部なのかなあという気もするっていうか、活用のないまま教本的に受け入れ過ぎると危険な気がするっていうか。

というかそもそもこの話は、Ricoh 社の Caplio G4wide というデジカメ(http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/stapa/16087.html)がオタのひとあいだで「なんかエロゲーっぽい背景写真が撮れておもしろいよ」というような話題になってた、というところからスタートしてるんだけど、クオリティはひとまず置いて、手っ取り早くそれっぽい ADV 背景を撮影するためにハードで解決できて、ハードでしか解決できないのが、つまりは画角ということだ。G4 がおもしろいのなら、それとだいたい同じスペックのカメラを探せばいいのだろう。目玉さえ手に入れればあとは正しい運用でしあわせになれるはず。

ただ、レンズで撮るカメラではどうにも解決できない問題があって、それは「レンズによって線が歪む」ことだ。直線のはずのビル写真を撮ったとき、ぐわーっとパースがつくのはおもしろいんだけど、なんかはしっこのほうで直線が曲線になっちゃったりするっていうあれ。まあそれはそういうものとして普段ならべつにいいんだけど、今回に限っていえばエロゲーっぽくないのでできるだけ回避していきたい。

この問題については、先の「レプはふ:漫画の背景を描いてみる」でも挙げられてる。

* デッサンの狂いがほぼ無く、写真から光の様子を計算しやすい

→“写真自体がひん曲がっていた”等がない限りデッサンの狂いがありません

(…ただし、写真を撮った“カメラのレンズの種類”によって消失点の位置が変わり写真端の方の柱が丸く曲がっていたり…(この場合は広角レンズの場合)ということがあるのでその場合は自分で修正する必要がでてきます)

というわけで「広角気味に撮れるけど直線はバッチリ直線のままのカメラ」みたいな未来の秘密道具っぽいものはないのかにゃーと思って探してみたが、探し方がまずわからないこともあって見当たらず。むしろ過去の秘密道具のほうに解決策がありそうなんだよな。

いずれにせよ空気がレンズの役割を果たすピンホールは全くの自然の原理であり、それによって映し出される画像もこれまた自然でありガラスレンズによって起る歪みはありません。結果としてピンホール・カメラによって撮影される画像は極めて自然に近く、なんとなく「癒される画像」と成るのもこの辺が理由ではないかと考えて居ります。

一度ピンホール・カメラに興味を持った人が「はまる」のも一つはこの辺にあるのかもしれません。

ピンホールカメラの場合、直線を直線として撮ることができる。

ただ、どうしてもぼんやりした画質になってしまうようだ。そこよね問題は。まあ背景は多少ぼかしますよって前提でかかれば、ピンホール撮影によって相当文学的なエロゲー背景は撮影可能だろう。ただ、どうしてもクッキリした背景が必要な場合、結局ピンホール写真をもとに手描き背景を描き起こす必要が出てきて本末転倒。またはより完全に 3DCG で組んでしまって問題解決(CG にしてしまえばレンズの歪みなど自在だし)。ていうかだからそっちの路線がコスト高だからカメラでなんとか省力化って話なのに、両極端にいってしまうな。なぜオタは極端ですか?