■
どういう経緯を経て出された見解なのかはわからないし、このエピソード自体本当にあったことなのかわからないし、前後関係を踏まえると印象は変わるかもしれないが、単純に言葉のうえでいえば、平均年齢60歳のおばちゃん達がこういうことを言うという、アメリカという国がおれは好きだ。
20年間世話になっているポール・カンブリア弁護士は、セントルイスで、あるポルノ関係の裁判を担当したばかりだ。このクライアントの商品は本当にひどいものだったうえ、12人の陪審員は平均年齢60歳の女性だった。クライアントは負けると思っていた。陪審は2時間の協議を経て、無罪の評決を下した。「これは私の好みには合わないが、他人の生き方に指図はしたくない」という意見が圧倒的だったのだ。
ただ、こういう見解もありうる国なりの明部や暗部に、たぶんおれはついていけないから、おれは日本人でよかったんだろうなあと思う。