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THE LORD OF THE RINGS - THE RETURN OF THE KING

LOTR tRotK

みてきた。おもしろかった。とてもよかった。満足した。

上映時間は三時間半ほど。ある程度体力に余裕があるときに見にいくべき。原作を知ってるひとにとって上映三時間超えは覚悟のうえのことだろうからいいとして、しかし原作知らないひとにとっては不当な苦行と感じられる時間があるかもしれない(起こること、起きたことが多すぎる!)。切れ目なく畳み掛けるように展開するため、見ているうちに時間感覚が麻痺する。

今回おれは上映時間を見間違えて、「信じがたいことに二時間程度に収まっている」と勘違いしていた(映画館の上映時間情報を見たらだいたい二時間くらいの間隔で上映開始されていたからなのだが、それは二つのスクリーンで交互に上映しているという意味だった)。が、冒頭(釣りのシーンからして妙に余裕をもった時間の使われ方をしているように感じて、おかしいな、こんなのんびり展開してて2時間程度で収束できるわけないだろとか、勘違いだったかもと思いはじめ、気がついてみたら三時間超えていた。

見にいったのはレイトショーというか、23:30 開始の回で、満員御礼で立ち見も出ていた。入ったときにはもうほとんどの席が埋まっていて、2列目の端のほうしか空いておらず、この位置ではほとんどまともな鑑賞ができないと判断し、上映がはじまってすぐに最後尾の通路に移動して立ち見に切り替えた。結果としてこれがよかった。

原作ファンには「初見は立ち見する」ことを強く推奨する。フロド一行の旅は第三作で最悪のものになる。ロクな食いものもなく、草木一本生えておらず、空気もまずく、道案内はアレだし、いつ終わるともしれず、成功するあてもなく、それでも進むよりほかない。そういった旅を眺めるのに立ち見は非常によい。疲労の質の問題だ。三時間半すわりっぱなしの疲労より、三時間半立ちっぱなしの疲労のほうがはるかにフロド一行への感情移入を高める。そして物語はクライマックスへなだれ込んでいき、時間感覚は失せ、怒涛のリフレインに至って、疲労もまた極に達し、なんかいい具合の汁が全身に行き渡って心と体が響きあうかんじ、「一体感」。これは原作が映画になってはじめて感じることのできるものだ。自動的に進行する物語に立ち会い、それを見届けるという感覚、なるほどー、これが映画かー。

取り急ぎ感想メモ。いろいろあるが省略。DVD版が出たときにでもまとめる。

  • 戦闘シーンは炸裂している。これでもかこの野郎!というくらいやれること全部やりましたみたいな。ファンタスティック合戦劇見たければ必ず満腹できるだろう。ピーター・ジャクソン氏のオーク偏愛っぷりも極に達しているかんじ。あの馬鹿っぽさは北斗の拳とかに通じるものがあって笑える。
  • 前作の映画を見たときおれは「指輪の支配力が強くなり病的に白くなっていくフロドは、徐々にマイケル・ジャクソン氏化していくようだ」とかそのような印象を持ったのだが、今作のフロドはおれにとって「マイケル・ジャクソン氏が沢田研二氏になってゆく」かんじで、すごく印象深かった。
    • Doom 山に近付くにつれ、フロドの顔はどんどん沢田研二氏のそれと重なっていった、ああ、このフロド沢田研二。ロボットに変形し月を歩くピーターパンでは不足、マイケル・ジャクソン氏のままではだめなんだ、あれはあれでひとつの極だがフロドの担うものを支え導く力はそこになく、偉大で崇高な等身大の男にならなければならない、だからフロドは沢田研二氏に近付いてゆかねばならない、すくなくとも太陽を盗んでみせるくらいのポテンシャル、それが唯一でありしかし、フロドが獲得してゆく沢田研二力はギリギリの選択であり、そこに孕む危うさも増大してゆく。
  • ミナス・ティリスの外観はすごく納得がいった。なるほどー、あんな構造になってるから「第○層まで後退」とかそういう段階防御が運用できるんすねー。
  • ゴクリの最期のシーンは、あれはすごいものを見たと思った。原作とはまったく印象が違う
    • 原作のゴクリは「愛しいしとおー」とか叫びながら、火口へと落ちる指輪を追って身を投げたが(つまり原作のゴクリには最期の瞬間まで愛するものを「追い求めて」死ぬという印象がある)、映画のゴラムは崖っぷちでつかみ合いの最中に指輪ごと火口に落ちてしまう。追っかけるわけではく、指輪を手にしたまま落ちるわけなので、「愛しいしとおー」とか叫ぶこともなく、無言だ。彼は指輪を手にしたが、直下は燃えたぎるマグマで、指輪もろとも死ぬのは確実、死の直前に彼は指輪を取り戻した、年月の果て、すべてを失い、自分の名前さえ忘れてしまっていた彼が唯一抱き続けてきた愛の成就だ、いとしいしとと一緒に彼は燃え尽きる
    • ところがそこからの行動がすごかった。なんと彼は指輪と一緒に(胸に抱くとかそんなかんじで)死を迎えるようなことをせず、指輪を手のひらの上に掲げて、その身をもって少しでも指輪を長らえさせようとするのだ。掲げたまま掴みさえしない。可能な限り高い位置へ、マグマより 1mm でも遠くへ指輪を支え上げる。心中するよりほかにできるようなこともなく、というかここまでくれば指輪と心中したってもはや(サウロン以外は)誰からも文句を言われるようなことのないような状況にあって、それでも彼は「せめて一緒に死ぬ」を選ばずに「(たとえ無駄だとわかっていても)愛するものを守るために自分ができることをやり通す」というすさまじさ。小さく哀れな死ではあるが、しかし映画のゴラムの死は渇望の果てではなかった
  • …あと、うーむ?ちょっと気になることが。もしかしてこの映画、編集の間に合ってないパートない
    • いや、まあ、全体通して一級品だと思うのですげえ細かいことなんだけど、火口が爆発してフロドとサムがもののけ姫やってるあたりのシーンの合成が微妙に浮いてる気がしたとか、あと王様の戴冠演説シーンの画質が妙にクリアで映画っぽいというよりはニュースっぽかった気がしたというか。まあ前者に関しては「あの画質はたとえばアルゴ探検隊とかそういった伝統的なファンタスティック映画の合成技術に対するオマージュ」とか受け取ればあれはあれでとても納得のできる画質なんだけど。DVD 版でブラッシュアップとかするのかなあ

あとこれはほんとに関係ないけど、規模や桁こそ違うものの「Fate」てようするに若オタにとっての「指輪物語」的存在なのかなーと思った、内容云々ではなくてイメージというか。説明がむずかしいけど、「すごい素人」としての大長編文芸のようなものを受け容れる土壌というか。