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ゲーオタのおなら in DRAG-ON DRAGOON

このゲームは、構成や操作系などとのかくほとんどすべてまったく違うんだけど、しかしそのプレイ感のようなものが「グルーヴ地獄V」のそれと極めて近い。

このゲームが万一おもしろいものであった場合の(つまり理想的な)ゲームモデルは、タイトルムービーに提示されている。

  • 雑兵の大軍
  • そこに巨大ユニットが出現し、雑兵はワラワラ逃げたり虫のように死んだりする
  • 空高く舞うドラゴン with ドラゴンライダー
  • 一転して急降下、敵の城内に突入するドラゴン
  • 雑兵の群れを足でひっかけ殺しながら着陸
  • ドラゴンから飛び降りたドラゴンライダー、群がる雑兵相手にチャンバラ開始
  • 一方ドラゴンも尻尾などで周囲の雑兵を蹴散らす
  • うざったい周囲の雑兵をドラゴンブレスで一掃

まあそりゃおもしろかろう。しかし現実にある DRAG-ON DRAGOON はどうかといえば、

  • × 雑兵の大軍
    • 画面中にムービーほどの密度で雑兵の大軍が出現することはない。ゲーム中にある敵の陣容は希薄で、拡散しており、自律的に行動しない。
  • × そこに巨大ユニットが出現し、雑兵はワラワラ逃げたり虫のように死んだりする
    • 雑兵は小隊ごとの単調な数種類のリアクションしかしないので「一斉に逃げ出す」ような複雑な反応をしない。
  • △ 空高く舞うドラゴン with ドラゴンライダー
    • 対地上戦のドラゴンは低空しか飛ばない(というか対地上戦では高度の制御ができないし、それをする必要のあるゲーム要素もない)。地上戦と空中戦はステージとして完全に分けられていて、地上と空中を並行して戦うような状況はない。
  • × 一転して急降下、敵の城内に突入するドラゴン
    • まずゲーム中ドラゴンに乗ったままでは城内に侵入できないようになっているのでこういった操作は不可能。
    • また前述のとおり対地上戦のドラゴンに高度制御の操作はないので、地上部隊に対して急降下でアプローチするのは不可能。
  • × 雑兵の群れを足でひっかけ殺しながら着陸
    • ドラゴンはゲーム中着陸できない。当然ドラゴンで雑兵を直接踏み潰すような操作は不可能。
  • ○(?) ドラゴンから飛び降りたドラゴンライダー、群がる雑兵相手にチャンバラ開始
    • これは一応できる。が、「着陸したドラゴンから飛び降りる」ではなく「空中のドラゴンから飛び降りる」になっている。
  • × 一方ドラゴンも尻尾などで周囲の雑兵を蹴散らす
    • ドラゴンから降りているとき、ドラゴンはまったく何の行動もしないというか、「戦場内に存在していない」扱いになっている(ドラゴンとドラゴンライダーが共同して戦う状況はない。ドラゴンに乗ったらドラゴンで戦う、ドラゴンを降りたらドラゴンライダーが戦うだけ)。
  • ○(?) うざったい周囲の雑兵をドラゴンブレスで一掃
    • これは一応できる。が、ドラゴンは着地しないので、ドラゴンブレスは常に空対地攻撃となる。

この八つの要素に対する判定で大雑把に評価すれば(このムービーでは空中戦に関する情報が欠落しているのでそのまま評価してもアレなんだけども)、仮にムービーを基準 100 点と設定して、対して実現されているゲーム内容は大雑把に○が二つで△が一つだから、ということは 31.25 点。もともと赤点ギリギリのゲーム内容しか持っていないゲームとして、DRAG-ON DRAGOON はリリースされたと見ることができる。

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とにかくおもしろいと感じることのできる局面がない。全然ない。まったくない。すごい。さすが。見事。期待どおりの出来栄え、予想以上のトホホ感。的中してもまったくうれしくない。こういうとき、おれの感受性などは豚に食わせてやりたいと思うわけだが、豚はああ見えてなかなかきれい好きな生き物だというので、豚に食わせるのもしのびない。

  • チャンバラがおもしろくない

呼吸や読み合いなどなし。←これはまあ、1k 人オーダーでバタバタ斬りたおすゲームの場合敵の動きを一々見たり読んだりなんて量的にやってられないのでこちらのリズムで一方的にガスガスやれるようにしとかないとプレイヤの神経参っちゃってきついんだろうけども(敵が一桁少なければ多少読み合い要素を入れる余地もありうるのかな)、それにしたって操作系がそもそもチャンバラを楽しめるように作られていない。

敵を斬ってる感覚をもたらすことのない挙動(よく言えば「座頭市」的剣戟つーんすか、ようするに刃同士がぶつからずにお互いシャクシャク斬るモーションを関連性なく繰り返すだけ、座頭市は鍔競り合いなどせず肉切る音しかしないのです←刃が欠けるから)、なんら戦闘操作として意味を持たない側転(モーションが大きすぎるし緊急回避にしても始動が遅い、位置がズレるのでコンボも切れるし、ガードしたほうがマシ)、まったくダメなカメラ(つうかこのカメラ制御ってドラゴン(空中)用につくったものを適当に地上向けにしてるだけじゃないのかなメモリかスケジュールかどっちかの問題とかで)。

ともあれプレイに戦術の余地がない。まあチャンバラがまともになったらプレイヤもまともにチャンバラをしなきゃいけなくなるから、そういうので振り落とされるユーザが居てはいけない!というようなゲーム共産主義システムの残念な側面が出てしまってたりするのかなあスクウェアエニックス社製品だし。

  • 敵があほ

あほというか脳みそがない。小隊ごとに突っ立ってるだけ。近付いたらノソノソ動いて漫然と小隊全員が斬りかかってくる(指揮系統などなく、隊長ユニットは一応居るが単にほかより体力が多いだけ)。プレイヤキャラクタさんがちょっと目を離すとすぐ休憩(AI 動作が ON になる範囲が狭いために起きる現象、PS2 で特に顕著、描画範囲でがんばっているゲームなどで殊に悲惨、つまり本作)。オラオラさぼってんじゃねえよプレイヤさまは金払って遊んでるんですよ働けよおまえら。モラルひぎぃなあ。でもまあこのへんは、メモリの乏しい PS2 上の雑魚 AI だったら三国無双とかカオスレギオンとかみんなそうだし、しょうがないんだろうなあというかんじ。

フォーメーションとかなし。小隊同士連携とかもちろんしない。移動さえしない。プレイ内容への反応どころか作戦行動もなし(プレイヤの行動への組織的な対応とかはスペック的にむずかしいとしても、三国無双でさえ決め打ちの部隊移動とかやっていたのに(← SS「GUNGRIFFON」みたいなかんじといえばいいのか)、ようするに DRAG-ON DRAGOON の敵軍設計思想は 32bit 機以前、SFC 相当のものと考えていい)。

それでいながら「○○へ移動中の敵部隊を殲滅せよ」みたいな指令があるのは逆に痛快。街道上にボサっと突っ立ってるだけだよおい。システム×メッセージの空転っぷり。ムービーの理想とゲームの現実のギャップなどもそうだが、文芸と企画と実装の問題でいえば、仕様作成能力が根本的にゲーム規模に対して追いついてないかんじだ。というかまあそれはそれでべつにいいとも思うんだけど、こうまであからさまにヘボさがばれるような作りはヤバいんじゃないかと思った(これは「ほかの部署ががんばった仕事をしているために、がんばってない部署のヘボさが克明になってしまった」現象かなあと思う)。動きを観察するまでもなく、ふつうに画面眺めててわかっちゃうもんな。強さは機械的、弱さは一通り。単調っていうか一種類。延々と淡々と各個撃破。

ともあれプレイに戦略の余地がない。まあ敵が有能になったらプレイヤも頭使わなきゃいけなくなるから、そういうので振り落とされるユーザが居てはいけない!というようなゲーム共産主義システムの残念な側面が出てしまってたりするのかなあスクウェアエニックス社製品だし。

  • 弱点を補完し合わない地上戦と空中戦

弓兵や魔法兵は地上でも空中でも単にウザいだけ。まともに運用できているとも思えない配置のカタパルト(有機的に運用すれば脅威にもできるような気もするんだけど、現状ブービートラップ程度の意味しか持っていない)。「ドラゴンが進入できないから」城内へは歩いて入る、「ドラゴンでは倒せないから」対魔装甲兵はチャンバラで戦うしかない、そういう絶対的な作業性もまああっていいと思うが、もうすこしこう、消極的な空中 / 地上の住み分けがあったほうがよかったのではないかと思う。つまり最低限「弓兵は地上からいけば楽勝で殺せる」程度の親切さがあれば。現状のゲームバランスてどう考えても「プレイ時間から逆算しての帳尻あわせの結果」でしかないよな。

「地上から潜入して偵察、ドラゴン戦に不利になるような施設を破壊したり、伝令殺したり橋を使えなくしておいたりして各部の連携を絶っておいてから、満を持してドラゴンで制圧」とかまでいければ完璧だが、まあ、そんなドリーミーな理想の入り込む余地はこのゲームにはないなあ。

  • ステージ目的はターゲット全滅だけ

まあ、これは、いいか、しょうがなさそうだし…。ああでもあれだな、空中戦で敵を全滅させたあと「TARGET」まで移動しなきゃステージクリアにならないのって、もしかして「続く地上戦へ、場面をシームレスにつなぐためだけ」の移動強制なんだったら、なんかゲーム象徴界的にセンセーショナルだな。そんなわきゃないしそんなことがあっていいはずはないけど。

  • タイム制限がゲームルール内で形骸化している

イベント固定以外の敵増援や、時間を消費しての体力回復行動や、明示的なタイムボーナスなどがあれば、タイム制限がジワジワと腰に響いてくるわけだが、敵は定数で回復アイテムは固定か倒した敵が出すだけなので、プレイ時間は弱者に不愉快な枷をはめるだけでそれ以上の意味を持たない。たとえばごく短時間でステージボス以外を全滅させたとして、しかし体力を削られてしまっており、このままボス戦に突入するのは心もとないなあと思ったとしても、時間は単にあるだけでそれを費やして取りうる行動がない。

なにが「絶対に一ステージのプレイ時間は1時間以内でなければならない」というふうに縛り付けているんだろう?なにか確保してるメモリが一時間超えると溢れるからとか?まさかなあ。ゲームルールは、システムに対する要不要で取捨選択されてこそであり、慣例からとりあえず実装をはじめるというようなことはやってもしょうがないと思うんだけど、官僚主導のゲームデザインだとだいたい慣例以外からはじまることってないかんじするよな(ユニークなものを作ろうという気がなければそれでもいいと思うけどまあ)。散文と韻文でいえば韻文が得意なほうが文系的であると思うが、ことゲームデザインにおいては文系のほうが散文的に思えるのは、結局「専門外の者」的なコンプレックスをゲーム内文系者がコンプレックス以外のものへ昇華することに成功していないということなのかな(かといって読みやすい散文を書けるわけでもなさそうっていうかどうしようもない)。