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祖母は「食いものなんて食えればなんでもいい」と言いながら、かなりの美食家だった。

この祖母の言動は一見矛盾しているようだが祖母なりの筋がとおっていて、ようするに祖母のいう「食えるもの」というのは「うまいもの」に限られていた。まずいものは、食えたものじゃないので、一度試したあとは二度と手をつけない。だから祖母は外食に行ってもたくさん料理を残したし、家でもちょっとでも味の落ちた食材は片っ端から捨てた。祖母には食べ物の種類による好き嫌いはなかったが、うまいもの以外を食わないという点での好き嫌いは強烈にあった。祖母は戦中・戦後の混乱期に、あまり運のいいほうではなかったらしく、相当苦労したらしい。子にも孫にも言えないような苦い出来事があったのかもしれない。祖母の食いものに対するあり方は、当時もそうだったのかもしれないし、でなければその頃の反動で以降そうなっていったのかもしれない。

食事に限らずおれの知る限りの祖母の生活は、だいたい何事もその調子だった。中にはわりと世間的に眉をひそめられるような言動もあったし、見方によっておそろしく残酷・冷酷に思えるふるまいもあった。曲がったことを嫌うけど、祖母は自分以外の定規の正しさを信じなかったので、徹底して誇りに生きて恥に生きなかった。