涼宮ハルヒの憂鬱(補足)
先日(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20040507#p2)の補足。
本作について重大なネタバレになるのだが、「実はこの世界は涼宮ハルヒが作っている」という世界観が提示された時点で、ああこれは「うる星やつら 2 ビューティフルドリーマー」リスペクト的なアレかと勝手に勘違いして読み進めてしまった結果、ある意味拍子抜けというか、気負いすぎたゆえの肩透かし感が、なくもなかった。本作の内容は、まったくそのようなふうではなく、言いようによっては「ライトノベルらしいライトノベル」だったといえるのかもしれない。
そのような世界観が可能である、やってもよい、となれば本作の読み筋のひとつは犯人探しとなるのだろう、つまり、「ここが誰かの作った世界である」という解釈をしてもよいのなら、「一見涼宮ハルヒが作っているように見える、実はほかの誰かが作った世界である」という可能性もアリになるだろう、なるにちがいない、じゃあ誰か、刑事コロンボも(うろおぼえだが)言っていた、事件が起きたとき「その事件によって本当に得をするのは誰か」に注目しろと、となればもちろん事件の犯人、世界を作った人物は決まっている、主人公だ。
「涼宮ハルヒの憂鬱」の世界は彼にとってこそ最も都合よくできている。意思決定はハルヒが勝手にやってくれて、「巻き込まれた立場」という保証が常にあり、おもしろいことは向こうからやって来て、さまざまな異常現象に傍観者として遭遇し、青少年的な役得とかもバッチリ享受しつつ、彼がまともに自分から起こしたアクションといえば、クライマックスでのあれくらいで、それすらもおいしい青春の一コマであって無駄がない。どう考えても真犯人はヤツであり、涼宮ハルヒなどは真犯人に責任だけおっかぶせられた哀れな犠牲者(人形っていうか?)の一人に過ぎないのであり、そんなこんなしてると最後に「神はおまえだよバーカ」みたいなタクシーの運転手とかが出てきてすったもんだがあって現実に帰って「ああやっぱりリアルなのもいいもんだ」的な無難なオチとかそんなかんじかなあとか適当なことを考えながら最後まで読んで、そういうわけではなかったので、おれはまったくこの作品にある直球感の支配している階層を読み違っていたのだなと思ったのだった。ちょっと考えてみたらわかることだ。もし本作がそんな話なんだったら選考を通過しそうにない。
ぺとぺとさん(補足)
先日(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20040507#p3)の補足。
イラストを担当している YUG 氏は萌え絵開発の分野で定評のあるひとだし、今回の仕事についても読者脳における萌え妖怪の形成体として十分以上の働きをしているとは思うんだけども、でもあれだやっぱり「ぺとぺとさん」が妖怪ものの作品である以上は、最低限、その主人公だけは YUG 氏の手になるあの絵ではなく、水木しげる氏作品に頻繁に登場する「例のメガネくん」こそがふさわしいんだよなーと、M さんに話したら同意を得た。
試しに「ぺとぺとさん」のイラストを参考に情景を脳内再現し、主人公以外はそのままにしておいて、主人公だけを「例のメガネくん」に脳内上書きしてみると驚くほどよく馴染み、徐々にそれ以外はありえないと思うようになる。ほんというと全編水木しげる氏のタッチで脳内再現することも可能。YUG 氏には失礼な話かもしれないが、おれの場合そっちのほうが萌える(「ゲゲゲの鬼太郎」などは、1 コマ見ただけで笑ってしまうくらいおれはあのおもしろさに耐性がない)。残念なことに水木しげる氏の漫画にあるポップ(またはポップしない)感というか、当時はまだ言語がなかったので表現できなかったがひょっとすれば「萌えの過去形」とも表現できたのかもしれないフィックスされた独特のおもしろさについて、気分を共有してくれるひとが最近は少なくなってしまった。
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- すがわらくにゆき氏のサイトが閉鎖
- 「出来ちゃった結婚」は英語で「shotgun wedding」
- http://www2.alc.co.jp/ejr/index.php?word_in=shotgun+wedding&word_in2=%82%A0%82%A2%82%A4%82%A6%82%A8&word_in3=PVawEWi72JXCKoa0Je
- 自アン+「『出来ちゃった結婚』にかわる言葉を考える」箱(http://www.zianplus.net/cgi-bin/vote+/htm/1084361935.html)で知った。あと「できたっちゃ結婚」(ラムさん)に笑った。