おいでよ どうぶつの森
T がニコニコしている。いまだかつて見たことがないほどブリリアントなニヤニヤ顔でどうぶつの森にはまっている。だめだこいつは。呪いが発動した。偉大な九人の人間の王も抗えなかった。誰もネットワークから逃れることはできない。一つの森はすべてを統べ、一つの森はすべてを見つけ、一つの森はすべてを捕らえて、くらやみのなかにつなぎとめる。影横たわるどうぶつの森に。影横たわるどうぶつの森に。なんで二回いうねんという話だ。韻とかあるんだ。大人は面倒だな。そういう子供はラクでいい。
- 最初のひとりとつながるまでは「おれはこの宇宙にただ一人ではないのか」みたいなドキドキだったが、それ以降は友達の友達とかいうかんじで「どうぶつの森」のネットワーク内でも輪がひろがっていけるかんじらしい。あちこち行ったり来たりしつつコロニーが形成されてゆくイメージだろうか。
- Wi-Fi でつながるためには相手も NDS で「どうぶつの森」を遊んでいる必要があるので、そこが制限になるのかなーと思ったが、発想を逆転すると「NDS を充電器につないでつけっぱなしにしておけば、自分の村がいつでも誰でも立ち寄れる HUB になる」ということに。無線 LAN がない環境だと PC も起動しておく必要があるけど、おれの家の場合無線 LAN 環境なので、あとはおれが「どうぶつの森」買ってつけっぱなしにすればいいだけ、か…。
かなり惹かれる。ううむ。GC の「ホームランド」とかはいまいちピンとこなかったけど、これだけ簡単に未来を示されるとなあ。いや未来じゃなかった。いまだ。かつてネットワークというものが未来の光だった時代をおれは生きた。だからそれを無意識にまぶしく感じるし、先のことだと思う。けどその未来はもう来ている。地上にあまねくとまではいかないが、おれの生活圏内であればほぼ満足できるくらいには行き渡った。科学の力だ。先人たちが営々と築き上げてきたインフラストラクチャ。そのうえを駆け巡るコンテンツたち。その光景が今おれの目の前にある。見えないけど。無線だから。一歩踏み出すだけだ。それだけでかつて見た幻を手に取れる。これか。これが指輪のささやきか。おれにも聴こえる…アラゴルンかボロミアかでいえば、おれはボロミア側の人間だろう…いやだめだ。取り込まれるわけにはいかない。XBOX 360 を前にこんなところで余計な力は使えない。「おいでよ」などと甘い言葉で誘うな。よこしまな光よ去れ!