ユリイカ増刊:総特集 オタク vs サブカル! 1991-2005 ポップカルチャー全史
ひととおり読んだ。ああこれはオタクは読む必要ないかもなあと思ってしまった。けどこれはたぶんオタクに読んでもらうために噛み砕いて書いてあるのかもな。または「オタクにもわかるように噛み砕いて書いた、という様式でサブカルに伝わればいいやという倒錯芸」かも(SF 大会において最も玄人受けする企画のひとつが「初心者の部屋」であるように)。このへんむずかしいな。ユリイカだものな。ここで提示されている話題というのは、そういうことを思っていては始まらんのだということでもあるんだろうしな。けどそんなのはべつにはじめなくてもいいわけなんだよな。始めなきゃはじまらないひとたちだけのものって考えると、そうなると、オタク vs サブカルっていうのは、サブカルのひとの話でしかないと言ってもそれは仕方がないことなんだよな。けどそういう言い方はつまらんのだよな。むずかしいなあ。むずかしいけどそういう形に出来上がってる増刊に見えるな。
- 名前がせっかく「オタク vs サブカル」なんだから、オタクの話も少しはあるのかなと思わせて、その実サブカルのひとがサブカルの話してるだけというのはどうにも潔くてむしろ笑った。サブカルのひとは勉強熱心そうなんだからオタクのことにも詳しいのかと思ってたら、そういうわけでもないんだなというのがよくわかる話ではある(これは五月のユリイカトークショー後の宴席上での会話を流し聞きしてても感じた(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20050501#p2)。やっぱ興味ないことに詳しくなるのはむずかしいわけなんだよな誰であっても)。
- ここでいう「オタク vs サブカル」というのは、サブカル界内での話題のひとつで、べつにオタクとサブカルの実体が vs しているわけではない(オタクという名前は使われているが、脊髄反射する必要はない)。ただ、喩えるなら「オタクには表現がなく、サブカルには表現しかない(またはその逆)」というくらい性質の違うふたつの単語をそのまんま戦わせるというのはエクストリーム的なわけだから、実体としての「オタク vs サブカル」というのはメディア上では展開できないのかもなあというのもある(≒どう頑張ってもこのようにしか固着できなさそう)。だから反応が期待されているわけなのだろうし、場の記憶として残していかないとだめなんだろう。けどそういう手法自体サブカル的なんじゃないかなと思うのでやっぱりこれサブカルの話じゃんということになる。
- エヴァンゲリオンを絡めないと接点が持てないってのは苦しいところだなあ。