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用語「誰得」関連

「誰得アニメだよ」みたいな用法をたまに見る。おれも使ってしまうことがある。「誰得」はとても優れたネットスラングで、すごいなーと思うが、しかしやっぱりおれは好きではない。けど便利だ。悩ましい。

アニメを見て得をする人間の居なかったあの頃が懐かしい…自アン詩「ガンダムが おまえにメシを 食わすのか」が有効だったあの頃が懐かしい…みたいな。まあ懐かしいというだけのことであって、昔のほうがマシであったなどということはないのだ。ゲームマッチョイストは三丁目の夕日を決して美しいと感じない。

  • オタがアニメを見るという行為は、オタ自身にとって(アニメ視聴体験以外の機会)損(失)しか生まないというか、まあ細かく実質的な話をすれば電気代とかか、ともあれ、すくなくとも得をする確率だけは間違いなくゼロなんだが、損しかしえないはずのオタは、いまや(誰かの)得を勘定をしながらアニメを見るのである。オタクの人生に立ちふさがる貧しさの問題と貧乏くささの問題は全く別で、そしておれは前者についてはなんとでもなるしかないと思っているが、後者については悲しみがあり、そして他人の得を勘定しながら生きるってのは、貧乏くささ側の問題だから、これがどうにも悲しい。とはいうものの、そこには貧乏くささを楽しむという和やかさが垣間見えて、心強くもある。
  • もちろん、見方を広げれば人間は息吸ってるだけで損し続けているわけなので、そのような人生をやり過ごすアニメ鑑賞の時間は、得でしかないよねともいえはする。やっぱ一切皆苦が真ならば、これを慰撫するメディアは必要だよ。
  • アニメを離れてインターネットの話をすれば、大雑把にいうと Amazon アフィリエイトパラダイムを破壊した。ガンダム関連商品を紹介したアフィリエイト収入で牛丼を食えば、それはもはや「ガンダムが食わせたメシ」である。ガンダムでメシを食う営為という聖域が、業界と無縁のオタにも部分的にだが開放され、これにより「ガンダムが おまえにメシを 食わすのか」の精神は汚泥に叩き込まれ、我々は暗黒時代を生きることになった。Web 2.0 である。
  • ことほどさように「誰得」は罪深い用語だ。そんなものが生じる時代になった。しかし敢えてこれを喜びとしよう。誰得前夜には、誰得的なナイーヴさは確かに現役各オタ諸氏に内面化されつつ行き場を持たなかったはずで、したがって言葉が生まれた後になら、誰得という考え方に頼ってそれを打ち破ることも可能なはずだからだ。事実そうなりつつもある。まあ「どんなものでも、それがあるのにもかかわらず、それを表現する方法(=言語)がない、というのが最悪だ」という理屈を使えば、だいたいのものは肯定できるわけだが、誰得については、そういうレベルを超えたところにあるねもはや。でもやっぱり、好きではない。