おれが結婚した関連 2
結婚式をやった記念に、よそのインターネットに書いた妻とのなれそめエピソードから、適当に日記に書いても問題ない範囲でエピソードを抽出増補改訂するぜ関連。
- おれが妻と知り合ったのは学生時代のオタサークル。家庭用ゲームを残金一杯の勇者買いにより部室でミイラ化していたおれに、学食をおごってくれたのがなれそめ。なんとなく片想い同士だったのだが互いに告白しないまま、おれは上京、彼女は地元と生活圏が離れる。思うに「どのみちもっと大きい街に出て行くだろう」と漠然と決めていたおれと、地元に残ることを決めていた彼女が学生時代に付き合っていたら、ふつうに卒業と同時にカップル解消して、結婚までいかなかったと思う。で、その後とくに個人的な連絡は取らず(おれは「現在の生活に関係のあるひと」「いま会えるひと」以外への連絡をほぼしない不精人間なのだ)。数年に一度、彼女が上京した際、ほかの友人と一緒に軽くご飯食べる程度。
- でも毎年正月には彼女から年賀状が届いた。ちなみに彼女から届く年賀状は、ずっとおれの下の名前を間違っていた(読みは合ってんだけど漢字が違った)。おれから年賀状を送ったことは一度もない。筆も不精なので。
- なお、それまでに会ったときもおれが宛名の間違いを指摘したことはなかったが、二年前の再会時にはじめて(開口一番)指摘した。
- ところでおれは何度も引越しをするうえに、引っ越しした際おれ側に必要な理由がない限り他人に新住所を教えないので(←よほどの理由があって何度も聞かれたとき以外教えない、べつに会いたくないとかそんなわけではなく帰省したときなど旧友と普通に遊ぶんだけど、なんか自分でもよくわからないが「縁を引きずる」みたいなのが面倒なので、母にも「実家に誰か同窓生から問い合わせがあっても教えないでくれ」と頼んでいた、たぶんおれの引きずる中二病のひとつがこれだろう)、おれ宛ての年賀状など基本的に来ないのだが、彼女にだけは、聞かれたときわりと素直に教えていたのだった(ただし「ほかのひとには教えないでくれ」と念を押した)。ので、彼女は「おれに年賀状を送ってくる極めて珍しいひと」の一人であった。
- ところでおれが学生時代からずーっと同じ番号の携帯電話回線を契約していた理由のひとつも「もしかしたらある日突然彼女から連絡が来るかもしれないから」なのだった。オタセンチというやつだろうか。で、それらの理由も今となってはだいたいなくなったので、昔からの電話番号はもう使ってない(基本料安くて手続きが面倒なのでまだ解約してないが)。
- で、二年前のおれは「全国ニートめぐり」と題した、(おれ側が連絡不精なんだから当然なんだけど)普段連絡を取り合わなくなってる旧友のうち、まだ死んでないことがわかっていて、且つひきこもりがちなひととサシ OFF する旅を、趣味として不定期に行っていた。父の法事で帰省した際そのことを思い出し、ふと「そういや彼女とひさしぶりに連絡とってみようか」と思い立ったとき、運命の車輪が回りはじめたのであった。
- とりあえずこの十年くらいの期間に、彼女の番号として教わっていた 3 つの電話に連絡してみたが不通(3 つというのは、たぶんキャリア変更などで数年置きに電話番号が変わっていったのを、機種変した時期に順番に教わっていたという話なんだが、いままで自分から連絡取ったことがないのでどれが生きてる番号なのかわからなかった、で結果からいえば教わった 3 つすべて死んでいたわけだ)、同じく彼女のメールとして教わっていた 2 つのアドレスに連絡して不通。致し方ないので、アポなしで直接彼女の自宅に行ってみることにした。住所は(年賀状発信元から)携帯電話に登録済、携帯電話を iPhone に機種変更したあとだったので、連絡帳の住所から Google Map を直接参照することができ、辿り着くことができた。このとき EM ONE しか持ってなかったら家探すこと自体諦めてたと思う。
- …いま考えてもアポなし訪問はふつうに失礼。でもまあ帰京途中の思いつき立ち寄りで、時間的余裕もなかったので。蛮勇が拓いた現在もあるってことで。
- でひさしぶりに劇的な再会を果たしたのかといえば違って、自宅に行ったら彼女は居らず彼女のお父さん(=現在の義父)が出たので、なんと自己紹介していいものやらしどろもどろになりつつ、とにかく挨拶してお土産(←高級品ではない、というか地元民が食うローカルジャンクフードだった。これも改めて考えるまでもなく相当失礼。でも味はいいのだ)渡して退却したのだった。空振り。でもその日のうちに彼女から電話連絡があって、まだ東京行きの電車(飛行機が怖いのでおれの長距離移動は基本的に電車だ)に乗ってなかったおれは急遽予定を変更、彼女の地元で OFF 会することにして、ちょっとしたロマンスが発生、という順番。
- 帰京後も彼女との連絡は続き、当時彼女を取り巻いていた状況などをわりあい詳しく聞くようになる。ちょっと洒落にならない相談など受けつつ、こりゃちょっとどうもならんかもしれないと思い、「じゃあ面倒なのでちょっとそっち行くよ」という話になって、唐突に押しかけることに。東京での仕事をわりあいぶっちぎる格好になったので、前も後もいろいろたいへんだったけど、それでよかった。たぶんおれがこのタイミングで行かなければ彼女の生活は(いまとは違う方向へ)相当変わって、今頃おれと結婚するようなかんじにはなっていなかっただろう。
- で、いろいろあって東京での生活を畳んで、彼女の実家の近くで同居→結婚→現在。
- あと、彼女の電話とメールが通じなかった理由は、彼女がおれの日記読んで「私も iPhone 使ってみたい!(機械音痴なのに)」とか思い立って、おれが来る直前くらいにキャリア変更して iPhone ユーザになっていたからなのだった。だから帰京後しばらくの主連絡内容は、iPhone の使い方相談コーナーみたいなかんじだった…。
というかんじ。まとめると、
- たぶん学生時代に付き合ってたら結婚しなかった。学生時代限定の付き合いで終わっていた。奥手も捨てたもんじゃない。
- おれが彼女に(ふつうなら教えない)住所を教えていなければ結婚しなかった。まあこれはおれの性分がちょっと特殊という話だ。
- で、彼女から年賀状が来てなければ結婚しなかった。でないと彼女の住所がわからず辿り着けなかった。意外にアナログは捨てたもんじゃない。
- おれが学生時代からの電話番号を変えていたら結婚しなかった。でないと彼女からおれに即日の連絡ができず、再会できなかった(あともうちょっと遅かったら東京行きの電車に乗っていた)。これはおれのオタセンチメンタリズムの話だな。
- 実父の法事がこのタイミングでなければ結婚しなかった。彼女が人生何度目かの大きな岐路に立ったちょうどいいタイミングだった。法事後に実母と「あんたはやりたいことしかやらないから、結婚とか無理そうだね」「そうねえ。嫁さんとか孫とか見せられそうにないよ、ごめんね」とか喋ってきた直後のロマンス発生だよ。笑った。
- おれが iPhone に機種変更してなければ結婚しなかった。でないとおれのパームトップで住所と座標が紐付かず、辿り着けなかった。…でも彼女が iPhone に機種変してなければ、もうちょっとラクに連絡取れてたのかもしれない。したがって「オタ結婚の陰には iPhone パワーが!」みたいな強弁には正当性がない。
- おれは大学卒業くらいから、母からの微妙な結婚圧力に対して「もし結婚するとしたら Y さんがいいけど、進路別れて接点なくなっちゃったしなー。それ以外の女のひとは、あんまどうでもいいんだよね」みたいな話で躱してきており、彼女のほうも学生時代からおれのことを(「ライターのかわりにチャッカマン持ち歩いてる友達が居てねー」とか)義実家で話題にしていたようで、家族同士の引きあわせとかはすんなりいった。
- 「縁が薄いな、と思っていても、会いたいなと思ったときに会いに行く(言い換えれば、普段努力しないくせに思いつきで突破しようとするってことだ)」はおれの生活の基本なんだが、そのミニマムな人間関係態度が、大きく自分の人生を動かすこともあるんだなと思った。結局は、目の前に一歩を進めるのと同じ足が、進路を選んでいるのだね。
とかなんとか。
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結婚式をした。立派なエネ夫としてゆくゆくは小町で叩かれるようがんばろうと思った。