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GRAND THEFT AUTO IV - 人殺しが人死にに立ち会う

GTA4

ミシェルが死んだ。おれが殺した。しばらく考え、セーブせずそのまま電源を切った。おれはショックで二時間ほど夜中の市街をさまよった。部屋に戻って再起動すると、そこにはミシェルが居た。死ぬ前のミシェルが。死ななかったミシェルが。選択し、選択されなかったほうの、電子の海に消えた平行世界で、しかしあのミシェルは死んでいた。黒こげになった車の前で、ニコは呆然と突っ立っていた。花でも置いてやればよかったのかもしれない。GTA に花屋はあるだろうか。わからないが、たぶんないだろうと思った。それがあるなら、セーブしてから電源を切ったかもしれなかった。

順番に書き出すと、以下のようなかんじになる。

  • ミシェルというのは、PC であるニコのガールフレンド。すでに何度かデートしていて、そろそろ好感度が上がってきたなーと実感できていた頃合い。
  • リトル・ジェイコブの運び屋ミッションを一仕事終えてからミシェルに電話、デートに誘う、快諾。
  • 運び屋の仕事で使った車はオンボロだったので、適当にデート用の(見栄えのよさそうな)車を調達すべく乗り捨て、駐車してあった大型車ゲット。
  • 車探しに手間取り、また現在地からミシェルのアパートが結構遠かったこともあり、ちょっと急いでいかないといけないなー、と思ったのがよくなかった。市街地をぶっとばしてあちこちで柱や車に接触、ジャンプして転倒などやらかし車体ズンボロ。しまいには煙まで吹きはじめて、「これじゃ乗り換えた意味なかったなー」と自嘲。また乗り換えるかとも考えたが、進路上によさげな駐車中の車が見あたらないままアパートに到着。
  • ミシェルを乗せてデートに出発。行き先はー、レストランでいいだろうとナビゲーション設定。いつものような会話。ドラッグがどうのとか、ミシェルは悪人側ではないらしく、ニコの仕事の心配をしているようなニュアンス、細かい内容はわからない。
  • 煙がひどくなってきた。こりゃ行きはいいけど帰りは別の車に乗り換えないとなー、と思いつつもうすぐ目的地。突然ミシェルが「車が火を噴いてるわよ!」と叫ぶ。いつもの会話じゃない。緊急事態だ。慌ててブレーキをかけつつ Y ボタンを押す。下り坂を走り降りていく車から飛び出すニコ。そのまま地面を転がる。馬鹿そうじゃない停車してからミシェルと一緒に。直後、車が爆発した。
  • 起き上がり、車の残骸に走るが、ミシェルの姿はない。メッセージが表示される。ミシェルは死んでいた。ユニークな NPC も死ぬんだ、と思った。そりゃ死ぬこともあるか。銃で撃つことだってできるんだものな。死なないわけはない。

とにかくにも、この出来事はおれの心に空洞として残った。日常的にゲーム内で人や人型のクリーチャーなどを撃ち殺しまくり、GTA においても悪党や警官やそれ以外を銃弾や車によって殺傷しているおれが、べつにそれほど重要とも思っていない NPC 一人を偶然に死に追いやってしまったことで、ショックを受けるというのが意外だった。この出来事があってから、おれのプレイはちょっと変わったかもしれない。優しくなったりは、していないんだけど。ミシェルが死んだ世界をおれは殺した。二度殺したのだ。その結果、いまミシェルは生きている。同じミシェルではない、と思う。それは当たり前だ。同じミシェルなど居ないのだ。