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腐女子界隈インターネット探索 2

引き続いて(http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20090824#p1)。

しばらく腐女子文化圏みたなものの表層をなぞってみた感触として、なんだかちょっと「五分後の世界」みたいな仮想世界に迷い込んだような気分になっておもしろかった。いやそこまでアレなかんじでもないか、「web 2.0 路線をはねのけて閉鎖環境へ退却したベクシル - 2009 日本鎖国」みたいな。だってほら「noindex,nofollow,noarchive」「Permalink とかいう考え方が基本的にない」「リンクする場合はトップページに」「相互リンク健在」「オンラインブックマーク(SBM のこと)禁止」「ローカルのブックマークすらトップページにするのがマナー」「web リング」「登録型サーチエンジン」みたいな、男子インターネット文化圏で 10 年かけて死んでいったような慣習が、どっこい生きてるシールドの中的な光景。じゃあこれがタイムスリップ感覚なのかといえばそうでもなく、べつに web 1.0 への退却だけがオプションではなくて、Blog に絵チャットに Twittermixi2ch に手描きブログに携帯勝手サイトなど、腐女子はいまどきのメディアにおいても多々活動しているわけで、そういう場では「あーやっぱり 2009 年だなあ」というかんじになる。ただ彼女たちは、肝心なところではロボット型サーチエンジンRSS を信用していない。

コミュニティはシステムによって規定されるので、腐女子たちのコミュニティのありようも、基本的には男オタのそれと大差ないと言えはする。ただ、「設計だけみればコミュニティが語れる」などと言える日が決して来ないのは、そこに千差万別の運用があるからだ。これは、スポーツにおけるルールと戦術の関係に似ている。ルールは大差なくても、その枠内で採られる戦術は地方や時代によって多彩、試合内容はまるで違ったものになりうる。風土に根ざした解釈が交流により衝突し、最適化を目指す競争のなかでトレンドが生じ、そのトレンドに対応して戦術がより複雑・洗練・高度化していく。

もともとインターネットが技術の産物以外の何ものでもないことから、ネットにおけるこのての言説ではどうにも設計主義的な意見のほうが強くなりがちで、基本的に「運用回避」という選択は軽視…というか諸悪の根源視されがちなんだけども(実世界の仕様は人類が切ったものではないので「人間が人間を殺す、という状況を不可能にする機能」を現実に対して追加実装することは(現在の人類科学では)不可能だから、法律なども基本的にすべて運用の領域で仮想的に実現され、設計はそれを補助するという主従関係になっているが、ネット世界の仕様を切ったのは人類なので、ネットに限定すればそれに近いレベルで設計を行うことが可能だ、という対比から、ネットでは暮らしよりも「その問題には設計で対処してよ」という気分のほうが強まりやすい。蛇足だけどこれって「部屋の掃除は面倒だからやらないんだけど、デスクトップはいつだって超綺麗にしてるオタ」みたいなオタマインドに通じてるような気がする。完全制御可能な場においてだけ発揮される完全主義というか)、…カッコ書きが長くなりすぎて元々なに書いてたか忘れかけてんだけど、ともあれ運用なき設計などありえんのだから、そこは永遠に続く厄介ごとだと割り切って、且つ割り切りすぎることなく、向き合っていきたい、といいつつも、まあマナー問題とかに直面したとき出てくる率直な感想は「めんどくせえよそれ」なので、むずい。おれには女子力が足りない。

腐女子コミュニティの話に戻ると、語られてる作品や人物などの具体的な情報をおれが全然知らないというのが一番大きいんだけど、とにかく「どこに腐女子たちの情報系があるのか探す」というレベルでかなり苦労した。なにせ検索しても引っかからないし。全部が検索避けをしてるわけではないから、「これがそうかな?」というサイトをポツポツ探り当てることはできるけど、どれか一つ見つけてサイトマップをざっと読んでおれに多少でも関係ありそうなコンテンツを探し、掲示板のログから交流の痕跡を辿り、あとリンク集のページを大活用し(いまどき男オタサイトではリンク集など管理人の個人的ブックマークでしかなくて、閲覧者として利用する機会なんてほとんどないよ!)、芋蔓式にネットワークを掘り出そうとしても、あまり根を辿ることができず、プチプチと探索が途切れてしまう。

あと、「ここにたどり着くことさえできれば、そこから先の視界は一気に開ける」みたな、HUB になってる巨大リンク集的なサイトがないかんじ。男オタの場合でいう個人ニュースサイトみたいなところもなさそう(一応 blog ツールを利用した、それに近いサイトはあったけど、そういうサイトでは読者想定が「腐女子&女オタ&ついでに男オタ」みたいなかんじになって、わりあい男オタ文化圏とも近い運用になってしまう)。同様に「腐女子とは」みたいな、腐女子語りをするブログもポツポツあって、でも今回おれが探してるのは、腐女子を語るサイトではなく腐女子を実践してるサイトだからなー、みたいなかんじでスルー。とにかく個別にあたり、リンクを辿り、登録型サーチエンジンのバナーがあればそこに飛んで上から順にガーッと開き、インターネット地図の脳内再構成を試みる…みたいな作業やってるうちに明け方が夕方になってしまったりした。

とりあえず、web リングや同盟、個人管理の登録型サーチエンジンにはかなり助けられたし、逆にいえばその経路を辿る形でしか探索ができていない。それら自体の数が多いし、大きいのとか小さいのとか生きてるのか死んでるのかわからないサイトなどゴチャゴチャしていて、一日二日探った程度では全体像…というより「概念としての中央」みたいなものが見えてこない。一枚岩ではないから変化への柔軟性があり、中央が存在しないので一箇所潰れたらすべてが終わりということがない、ようするにそこで行われているのは不正規戦ってことか。インターネットの発展と並行して、さまざまな局面から筆頭者らしきパーソナリティをシーンが押し上げることで、徐々に不正規戦から正規戦の領域へ進出しつつある(とはいえ不正規の領域が継戦能力を支えている部分もあり、完全な質的転換はむしろ時流にそぐわないので、今後はより一層境目が曖昧になっていくのであろう)男オタと違い、腐女子はいまでもジャングルを主戦場としているのだな。そりゃ設計より運用だ。無断リンク禁止言説は死なず。それは頼もしくさえある。

多分もうちょっとつづく。